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No.348 大谷ヶ丸1644m (南大菩薩・南小金沢連嶺)
 平成28年8月19日 曇り時々雨と霧

「大谷ヶ丸」の略図
小ぎれいな無人駅
甲斐大和駅からスタート!

当地(田野地区)の産土神
氷川神社の鳥居を潜る

森林の景色が幻想的だ!
大鹿峠に出る

樹林に囲まれてこじんまりとした山頂
コンドウ丸の山頂

防火帯に群生するマルバダケブキ
マルバダケブキの群生

三角点と露岩(右手前)のある山頂
大谷ヶ丸の山頂

美しい沢の風景を独り占め!
米背負沢を下る

169mあるという暗いトンネル
大蔵隧道


米背負沢コースが素晴らしい!
標高差1000mは(今の私には)限界かも…

JR中央本線・甲斐大和駅〜景徳院〜氷川神社〜大鹿峠〜大鹿山1236m〜曲り沢峠(平ッ沢峠)〜コンドウ丸1392m〜大谷ヶ丸1644m〜米背負峠〜(米背負沢・大蔵沢林道)〜やまと天目山温泉(入浴)-《市民バス12分》-甲斐大和駅 【歩行時間: 6時間50分】
 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページ


  新宿駅の12番線ホームから中央本線の快特に乗り、終点の高尾駅で小淵沢行きに乗り換えて、大月を過ぎて笹子トンネルを抜け出ると間もなく、小ぎれいな無人駅・甲斐大和駅(標高約610m)へ着く。 今回は単独行だ。 なんとか乗り越しをしないで…ここまで電車の座席で眠らなかったのは奇跡的だ…予定通りにここまで来た。
  8時35分頃、眠たい目で駅前からフラフラと歩き出したら、夏休みの登校日(集団登校)だったのだろうか、小学生たちに 「おはようございます」 と挨拶された。 慌てて 「お早う」 と返したつもりだったが、喉がつまって声が出ない(つ〜か、しゃがれた小さな声しか出ない)。 それでもう一度、気合を入れて 「おはよ〜!」 と返事した。 子供たちはそれぞれ笑みを浮かべて元気よく挨拶してくれる。 この地域の子供たちのこういう挨拶は、大人たちが教えているものだとは思うけれど、とてもよいものだと思う。 おかげで完全に目が覚めた。
  国道20号線(甲州街道)を東へ歩き、信号を左折して県道218号線を日川(*)に沿って更に遡上する。 この沿道には四郎作(しろうつくり)古戦場跡とか鳥居畑古戦場跡、そして武田勝頼・信勝父子の首を洗ったという「首洗い池」…などの武田氏滅亡に関する史跡・古跡が多い。 それらの石碑や解説板などもじっくりと見学してみたいのだが、今日の予定は標高差にして1000m以上ある(私にとっては)きついロングコースなので、先を急ぐことにする。 道端の幼木や灌木などに絡みついているクズの…、その房状の赤紫色の花が案外と美しい。
* 日川(にっかわ・ひかわ): 大菩薩連嶺に源流をもち、甲斐大和駅付近を西へ流れ、甲府盆地で笛吹川に吸収され、釜無川と合流して富士川となって駿河湾に注ぐ。
  「大鹿峠⇒」の道標に従って景徳院の手前を右折して道なりに進み、そして左折して民家の庭先みたいなところを通る。 シカ避けの鉄柵を開け、当地(田野地区)の産土神であるという氷川神社の赤い鳥居を潜り、左手にある社に参拝する。 ここが大鹿峠への登山口なのだ。 甲斐大和駅前からは歩程にして40分足らずの、静かな朝のアプローチ道だった。
  スギ、ヒノキの人工林にコナラ、クリ、ミズキ、シデ類などの雑木林が交ざる、よくある里山の林相だ。 ミンミンゼミとツクツクボウシが競い合うように鳴いている。 日ごろの鍛錬不足の私は、もう既に汗びっしょりだ。 しかし何気に…、空模様が少々怪しい。 ガスってきて、セミの鳴き声が止んで、そしてとうとう雨が降り出した。 森林の景色が幻想的だ。
  随分と迷ったが、とりあえずカッパの上だけは着けて、蒸し暑いので下(ズボン)のほうは手に持ったまま…いつでも履ける状態で…歩いた。 大鹿峠へ出て左折して(右折すると懐かしのお坊山や笹子雁ヶ腹摺山方面だ!)、大鹿山1236mやオッ立1301mの巻道を進み、曲り沢峠(ここを右折すると滝子山方面だ!)を直進する。 スギ・ヒノキの人工林が何時の間にかカラマツ林になっていて、雑木林の主人公がコナラからミズナラへバトンタッチしている。 クリやミズキは相変わらず多いようだ。
  コンドウ丸1392mの少し手前の平らな処で昼食にする。 このころから雨は止んで、薄日が差してきたのだ。 結局カッパのズボンはずっと手に持ったままだった。 …とりあえずコンロに火を点けて、野菜たっぷりの塩ラーメンを食べる、 と、いろいろな虫が熱いスープに飛び込んでくる。 何故虫たちはそんなに死に急ぐのだろうか、などと哲学的に瞑想しながら、大きな虫はつまみ出して、小さな羽虫などは面倒臭いのでそのまま食べる。 別段味に変わりはない。 小鳥も鳴いておらず、とても静かで…、少し寒くなってきた。
  コンドウ丸のこじんまりとした山頂は樹林に囲まれていて展望が無いので、すんなりと通過する。 このころから、カラマツ林の伐採跡や防火帯などの開けた処のあちこちに、マルバダケブキが今を盛りに黄花を咲かせていた。 山稜に目立って咲いていたのはこの花だけだったので特にそう思ったのかもしれないけれど、その美しさを再認識して、随分とその花に励まされた。 もう既に私は充分に疲れている。
  右や左に小群生しているそのマルバダケブキの花を横目で睨んで、ゼーゼー云いながら、アップダウンして徐々に高度を上げる。 歩みが超スローになって、ドロ壁のような急斜面をよたよたと登り切ると、そこが三等三角点のある大谷ヶ丸(おおやがまる・1644m)のシックな山頂だった。 もう14時30分で、あまりのんびりとはしていられないのだけれど、ここから先は(得意な)下りしかないので、やっぱりここで休憩して山頂部を散歩することにする。 そのときの私のメモには 『ガスっているし樹林に囲まれているので展望は無い。 山頂部の南側に露岩があるけれど、それが山名の謂れ(大岩ヶ丸→大谷ヶ丸)であるらしい。 割と小さな岩(貧相な岩…失礼)だったのには少しがっかり。 付近の樹種はカラマツ、ミズナラ、シデ類、ツツジ類、アカマツ(弱っている)など…』 と書いてある。
  大谷ヶ丸の山頂から北側へ少し下ると…なんか急に自然っぽくなってきて…立派なブナやハウチワカエデが多くなり、オオカメノキやナツツバキも生えている。 心休まる植生で、なんだか嬉しくなって足取りも軽くなる。
  ハマイバ丸との鞍部(ダル)・米背負(こめしょい)峠から西へ下る沢コースがまたよかった。 昨日までの大雨の影響だと思うが、米背負沢の水量が多くてけっこうな迫力だ。 白っぽい岩盤(花崗岩だと思う)を流れる水は清らかで冷たくて風情があって、渡渉の度に小沢を跨いで飲んだり顔を洗ったりした。 沢沿いにはイタヤカエデ、ハウチワカエデ、チドリノキなどのカエデ類が多いので、新緑や紅葉の時季はさぞかし絶景だろうと思う。 下るにつれてサワグルミ、サワシバ、トチノキ、フサザクラ…などの沢筋の常連樹たちも目立ち始め、おまけに木々の隙間から薄日も射してきたりして、美しい沢の風景を独り占めにしたような、いい気分になった。
  やがてステキな沢下りも終わって、登山口(下山口)からは静かで長い林道(大蔵沢大鹿線)歩きになる。 このころになってようやく青空が出てきて、林道の途中にある開けた箇所からは、さっきまで歩いていた大鹿峠の辺りからお坊山や米沢山、そして笹子雁ヶ腹摺山などの山稜がすっきりと見えている。 これが本日唯一の山岳展望だった、というのが今回コースの(スポイルされる)個性のひとつである、のかもしれない…。
  大蔵沢の渓谷を橋で渡ったり、思わず懐中電灯を取り出した長くて暗いトンネル(大蔵隧道)を通ったり、とにかく飽きない林道歩きだ。 頑丈な車止めのゲートを抜けて200m程も進むと県道218号線(大菩薩初鹿野線)にぶつかり、ここを右へVターンして、今度は明るくて距離の短い天目トンネルを抜ける。 と間もなく、17時頃、お目当ての「やまと天目山温泉」に到着した。 ここからの最終バス(甲州市縦断線・300円均一の市民バス)は18時27分発だ。 しめしめ、ゆっくりと温泉に浸かれるぞ。 そして湯上がりの冷えたビールだ!
  今回の山行で出遭ったハイカーは上りですれ違った(私と同じくらいの年齢の)男性の一人だけ。 とても静かで安全なコースだったけれど、日帰りの標高差1000mは(今の私には)限界かもしれないと悟った。 …日ごろの鍛錬をさぼり過ぎているからだ、と素直に反省するしかない私だ。

温泉マーク やまと天目山温泉: 「湯の沢峠から大蔵高丸とハマイバ丸」の項を参照してみてください。


* 当サイト「私達の山旅日記」の小金沢連嶺・南大菩薩の山行記録です。参照してみてください。
  北小金沢連嶺: 平成23年7月
  大蔵高丸とハマイバ丸: 平成25年8月、平成29年5月
  雁ヶ腹摺山: 平成22年10月
  滝子山: 平成19年12月
  笹子雁ヶ腹摺山: 平成8年2月


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山稜に目立って咲いていた唯一の花
大谷ヶ丸の南面にて
山稜に咲くマルバダケブキの群生
これが本日唯一の山岳展望!
お坊山から笹子雁ヶ腹摺へ続く山稜を望む
大蔵沢林道から南西方向を望む
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