No.383 森吉山(向岳1454m) 令和元年(2019年)7月25日(木) |
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第2日(7/23)=国見温泉…抱返り渓谷…田沢湖一周観光…乳頭温泉「黒湯」 第3日(7/24)=乳頭温泉「黒湯」〜乳頭山〜黒湯…乳頭温泉「妙之湯」 第4日(7/25)=乳頭温泉郷「妙之湯」-《車》-森吉山阿仁ゴンドラ・山頂駅〜石森〜森吉山(向岳1454m)〜森吉神社・冠岩〜ゴンドラ山頂駅…山麓駅-《車》-打当温泉 【歩行時間: 3時間30分】 第5日(7/26)=打当温泉…角館・武家屋敷などを散策…秋田空港…羽田空港 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ *** 前項「乳頭山(烏帽子岳)」からの続きです *** あとで知ったことだが、江戸時代には、森吉山は北前船の山立て(目印)にもなったという。…その森吉山へ、今回ついに登る機会を得た。登山の前は何時もワクワクするけれど、今回ほどワクワクして嬉しかったのは、私としては珍しいことだった。 ●第4日目(7月25日): ゴンドラを利用して山頂へ 森吉山阿仁スキー場・阿仁ゴンドラ(*)の山麓駅の駐車場に車を停め、次から次へと発着するゴンドラに乗り込む。人影は思ったより大分少ない。ゴンドラの窓から見下ろすと、放牧の黒い牛さんたちが群れてのんびりしている。 森吉山中腹のブナ原生林を堪能することができないのは少し残念だが、矢張りゴンドラを(往復1,800円の出費で)利用してしまった。ゴンドラの乗車時間は約20分で、この間に標高差600m強をかせぐことになる。私達の他人にはあまり自慢のできないポリシー(なるべく楽をして登る)は未だ健在だ。(^_^;) 標高1167mのゴンドラ山頂駅から整備された登山道を歩き始めたのは午前10時50分頃だった。ブナはとっくに姿を消していて、樹高が低く疎になったオオシラビソ(現地ではモロビと呼んでいるらしい)があちこちに見えている。登山道沿いはミネカエデ、ミヤマナラ、ミヤマハンノキ、ナナカマドなどの明るい灌木帯だ。この地の山稜によく見られる展望向きの美しい植生だ。 標高差にして140mほども登り石森の分岐を右へ進む、と益々空が開けてきて、灌木帯と小さな湿原や池塘などが交互に現れる。ゴゼンタチバナ、トウゲブキ、ハクサンシャジン、クルマユリ、キンコウカ、そしてニッコウキスゲなどの小群落を次から次へと通り過ぎ、ため息をつきっぱなし、カメラのシャッターを押しっぱなしだ。しかし〜う〜ん、まずい。そのバカチョンカメラが電池切れ(残量少ない)のサインだ。 トイレ付きの立派な避難小屋前を通り過ぎ、山頂直下の比較的になだらかな地形(稚児平)の辺りからは展望はさらに広がる。ハクサンシャジン(相変わらず花の数が多い)やハクサンフウロ、ハナニガナ、シロバナニガナ、イワイチョウ、などを足元に愛でながら、露岩帯を登り切ると森吉山の最高峰・一等三角点1454mのある向山の山頂だった。生憎とこのとき雲に覆われていて展望は利かなかったけれど、晴れていれば…独立峰の森吉山のこととて…東北の名だたる山々が見放題だった筈だ。どうも今回の秋田の山旅、山頂からの展望には恵まれない。…このまま北東へ進むとお花畑が特にすばらしいという湿原(山人平)へ出るらしいけれど、往復1時間弱のコースタイムに(ゴンドラの最終稼働時間の)自信がもてず、安心登山の見地から今回はカットした。 向岳の山頂からは来た道を戻り、石森を直進して奇岩の冠岩が御神体だという森吉神社に参拝する。この一帯を前岳というらしいが、ここから振り返って撮った森吉山山頂部(向岳)の写真が今回山旅の最後の1枚となった。そう、とうとうここで完全に(バカチョンの)電池切れになってしまったのだ。スマホもデジカメも電池なしではただの木偶の坊(でくのぼう)だ。というかただの金属の塊で、ザックの重石になるだけだ。→この部分を書いているとき、「木」と「金属」と「石」が出てきたので、偶然ではあるけれど、内心面白いと思った。 山頂駅に戻ったのは14時20分頃で、ゴンドラの下り最終(16:00)には楽々と間に合った。 今回は楽をし過ぎたかも知れないが、森吉山の良さの一部分は垣間見ることができたと思う。森吉山はとっても大きな独立峰で、展望と花の名山でもある。私も云いたい。「チョーおもしぇがったよ〜」 * 森吉山について(補足): 北秋田市の作成したパンフレットの説明文によると、“森吉山は秋田県の中央東部に位置する約20km四方の山塊で、向岳1454mを主峰に、一ノ腰、前岳、石森、ヒバクラ岳、カンバ森など東西3kmのカルデラを形成する独立峰” とのことだ。また、その山麓には小又峡や中の又渓谷(安の滝)などの名瀑を巡る必見の地もあるようで、何時の日か機会があったら是非訪れてみたいと思った。 * 森吉山阿仁スキー場・阿仁ゴンドラについて: 今回利用してみて…はっきり云って…なんか、ものすごく違和感を感じた。公式のホームページに輝き(張りとかやる気とか分かりやすさとか…つまりポジティブな発信)が無い、というのはまぁ(お役所仕事だから?)仕方がないとして、関係する道路などに設置されている案内板(アッピール)が少な過ぎることや、利用者が超少ない(私達が見たのは…上りと下りを併せて…私達の他には2組の4名だけ)ということなどは強烈な負の印象だ。つまり、平日とはいえ、次から次へと発着している(6人乗りの)ゴンドラには殆ど人が乗っていないのだ。素人考えでも、これではどうやっても経営が成り立つ筈がない。→ この後、阿仁ゴンドラのホームページは更新(改善)されたようです。[後日追記] この阿仁ゴンドラの云々については、今までにもいろいろと紆余曲折があったらしい。現在では北秋田市がNPO法人を指定管理者として運営を続けているというが…、う〜ん、けっこうきわどい感じだ。…もしかして、冬場のスキー場経営は活気があるのかも知れないが…。 森吉山の素晴らしい自然とロケーションを鑑みても、(観光地として)もうちょっとなんとかならないものなのか…とても歯がゆい。経営権の主体が変わったり、自然を守るか守らないかの微妙な処(議論)をず〜っと行ったり来たりしたり、の感もあるけれど…、よそ者(私)の身勝手な考えとしては、やっぱり“森吉山のかけがえのない自然”を生かした(とことん守った)経営のほうが結果として正しいと思う…のだが…。要は、ぶれない政策が重要だと思うのだ。 打当(うっとう)温泉「マタギの湯」: 伝統ある阿仁マタギの本拠地に建つ一軒宿。マタギ資料館が隣接する。私は13年前にこの地を旅したことがあり[→No.208「小影山(和賀山塊)」]、そのときに一度だけ(日帰り湯として)この施設を利用した思い出がある。衛生的で近代的な設備で安心して入浴できるのは今も昔も変わらない。泉質はナトリウムカルシウム塩化物泉・源泉温度56.6℃・適温にするために加水、掛け流し。殆ど無色透明無味無臭。半露天の外湯からは打当川の流れる渓谷を眺めることができ、右手には田園風景が広がるという(建物正面の外見からは想像できないほどの)好ロケーション。夕食の鍋料理が美味しかったので「なんの肉?」と訊ねたら「ウサギです」 と返事が返ってきた。それを聞いた佐知子が目を丸くしていた。1泊2食付き(トイレあり)で一人12,000円は納得の料金だ。 打当温泉「マタギの湯」のホームページ ●第5日(7月26日): 角館武家屋敷を見物後、帰路につく 打当温泉「マタギの湯」でのんびりと朝湯に浸かって、ゆっくりと食事して、徐にチェックアウトする。途中、角館の武家屋敷などを散策したりしてから秋田空港へ。5日間お世話になったレンタカーを返却して、空港のレストランで遅めの昼食。ビールを飲みながら食べたのは(確か)「きりたんぽカツカレー」とかいうもので、味はよく覚えていないけど、とにかく高かった。 終わってみるとあっという間の秋田の山旅5日間だった。 佐知子の歌日記より 二十頭の黒牛ねころび草をはみ 広い野原にかたまりており 濃淡あり大小あれど背をのばす森吉山の白山沙参(ハクサンシャジン) 木道でつまづき君は手をくじく七十歳(ななそじ)の坂はゆっくり登ろ レンタカーのナビに従い走れどもガタガタ道に泥跳ね上がる 知らないでいたらよかった 山の宿でうさぎの肉を食べてしまえり きりたんぽカツカレーなる定食をはじめて食す 飛行機見つつ 〜灌木と草原と湿原の〜 森吉山は花の名山!
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