No.73-2 大弛峠から金峰山 そのA アルペンムードも楽しめる「山の中の山」 |
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歩程=中央自動車道・勝沼 I.C-《車1時間強》-大弛峠〜朝日峠〜朝日岳2579m〜鉄山2531m〜金峰山2599m(往復) 【歩行時間: 4時間40分】 → 地理院地図(電子国土Web)の該当ページへ INDEX 全山紅葉だ! 平成10年11月7日 既に定番・私達の名コース! 平成13年9月8日 バイケイソウが咲いていた! 平成25年8月2日 コロナ炎天何するものぞ! 令和2年8月17日 コラム 尾崎喜八の「金峰山の思い出」
既に定番・私達の名コース! 鉄山の北側をトラバースし、暫らく登り詰めたハイマツ帯の稜線地点で、メンバーのSさんが急に座りこんで動けなくなりました。軽い貧血症状を起こし、気分が悪くなったようです。寝不足等の体調不良と軽い高山病が原因と思われました。おまけに、泣きっ面にハチ、雨も降り出しました。しかし、流石に海外でも活躍している登山家(ロッククライマー)を息子にもつSさん。少しの休憩で「復活」してしまいました。金峰山の山頂を目の前にして、この時、引き返すことも考えたのですが、心配は杞憂となりました。雨もすぐに上がり、予定通り、山頂部五丈石の広場で大休止の後、和気あいあいのうちに、全員無事に楽しく下山できました。百名山初挑戦の皆さんでしたが、そのバイタリティには頭の下がる思いがしました。どうかめげずに、これからも山歩きを続けてほしい、と思いました。 下山後は、牧丘の鼓川温泉で汗を流してから帰路につきました。 苔むしたシラビソ林の幽趣と花崗岩の明るい頂稜に代表される奥秩父の重鎮・金峰山。あの小暮理太郎氏が「…百貫の貫禄を具えた山の中の山である」と讃えた金峰山。この山は何時来ても、きっと素晴らしい山なんだろうな、と、しみじみとそう思いました。 牧丘「鼓川温泉」: 小楢山の項を参照してください。
バイケイソウが咲いていた! 金峰山周辺の山稜は「花崗岩の国」と呼ばれるほどにアルペン的な景観ですが、本コースの4分の3くらいはシラビソやオオシラビソなどの鬱蒼とした(苔生した)原生林を歩きます。 “鬱蒼…”と書きましたが、実際は所々に(縞枯れ的に)明るく開けた箇所(倒木によるギャップ)が出てきます。台風などの強風が原因か、単なるシラビソの寿命(短命で数十年〜百年と云われています)か、地質や地形によるものか、その原因については諸説あるようです。 それらのギャップには亜高山帯における落葉広葉樹の代表選手・ダケカンバが侵入しています。ダケカンバは太陽の光が充分ならば、多少の悪い地質や地形はものともしない陽樹なのです。そして、その明るい林床にはバイケイソウが群落して咲いていました。独特な緑色の集合花にも、幅広で平行脈の葉にも風情があります。今夏は数年に一度の、バイケイソウやコバイケイソウの当たり年とのことです。 バイケイソウの他に目立って咲いていた花はタカネニガナやハクサンシャクナゲなど、シカの食害が影響しているのか、数も種類も少なかったです。五丈石の付近には見ごろのトウヤクリンドウやヒメコゴメグサが、これも数は限られていますが、可憐に咲いていました。 暑くもなく寒くもない微風、高曇りのさわやかな一日…。近くの小川山や瑞牆山などの景色を眺めながら、山頂手前のハイマツに囲まれた岩っぽい広場で大休止。みんなで飲む、コンロで沸かしたココアや紅茶が、喉から胸へ温かく流れ落ちます。 このコースは、いつ来てもいいなぁぁぁ、と今回も思いました。 やまなしフルーツ温泉ぷくぷく: この日、私たちが下山後に立ち寄った山梨市の日帰り温泉施設です。「山梨県笛吹川フルーツ公園」内の上部、甲府盆地や富士山や南アルプスなどが望める絶好のロケーション。平成23年8月にグランドオープンしたそうで、どちらかというとスーパー銭湯的です。ここの“売り”は、なんといっても大展望です。新日本三大夜景のひとつに選ばれているそうで、風呂場からも食堂からも良く見えます。これはまったく見事でした。入浴料は時間制限なしの800円で、24時まで営業している、というのもスゴイと思いました。泉質はアルカリ性単純泉。このさらに上部に「ほったらかし温泉」という施設もあるようで、そちらも面白そうです。平日だから空いていたのかもしれませんが、まだ(当分は)穴場かもしれません。勝沼 I.Cまでは車で約30分の距離でした。 「フルーツ温泉ぷくぷく」のホームページ 「ほったらかし温泉」については「太良ヶ峠から棚山」の頁を参照してみてください。 * 大弛峠までバスが開通!: この後(H26年6月〜)、塩山駅から焼山峠、大弛峠(金峰山)線が新路線として開通したようです。 この方面への交通手段の選択肢が益々広がっています。(後日追記) 佐知子の歌日記より しらびその林の床の幼木の みどり葉きらり受けつぐいのち マスコットは君の作りし温度計 リュックを離れて道迷いなり
コロナ炎天何するものぞ! 山稜に咲いていた花は少なくて…、バイケイソウの咲き残りとヒメコゴメグサとタカネニガナが僅かに自己主張していた程度でした。とはいえ、何といっても標高2360m〜2599mの山稜です。涼しいのがなによりです。 今回の特筆すべきは、五丈石の下で大休止して、そして珈琲を濾して二人で飲んだ、ということです。前々から一度はやってみたかったことで、もちろん、あの尾崎喜八の詩「金峰山の思い出」を真似したものです。…結論をあっさりと云ってしまうと…標高約2600mで沸かしたお湯は(沸点が低くて)ちょっとぬるくて、まぁ微妙な味と香りでした。(^^ゞ ・・・・・・・・・・・・ それから五丈石の下へうづくまって ハンケチの端で珈琲を濾したな。 思ひ出せば何もかもたのしいな。 尾崎喜八「金峯山の思ひ出」より ・・・・・・・・・・・・ * 尾崎喜八の「金峰山の思い出」については前項のコラム欄を参照してみてください。 予想はしていましたが、やっぱり驚いたのが大弛峠の駐車場です。私達が到着した午前8時頃には殆ど満車(約25台)状態で、私達の車がブービーでした。その後に到着した車は手前の道路上に延々と繋がって駐車、ということになったようです。平日なのに、まったくすごい人気です。…この時節、考えることはみな同じ、なんですね。 ここのところずっと引きこもり老人になっていたこともあり、身体が完全になまっていて、とにかく疲れました。おまけに私の靴底(両方とも)が剥がれて…、幸いなことに復路の途中からひどくなりましたので、応急手当はしないで、ごまかしごまかし何とか最後まで歩き通しました。これで(ここ20数年の間に)3足目の同じ悲哀を味わったことになりました。学習(経験)を活かせない私です。今回も、早めの対応(早めに新しい山靴を買う)の重要性を痛感した次第です。 帰りは何処へも寄らずに、真っ直ぐに帰宅しました。腕と耳たぶと鼻の頭が日焼けで痛いです。 金峰山山頂からの景色: YouTubeに投稿してみました。 佐知子の歌日記より ストックを忘れたわれは枝拾い 夫はタオルを帽子がわりに 大菩薩・南アルプス・八ヶ岳 ひときわ目立つ黒い夏富士 色の濃きアサギマダラがわが腕のまわりを繁く飛びまわりたり 夫の靴左右の底が剥がれたり岩や木片何度もからみ 大弛峠から金峰山・写真集: 大きな写真でご覧ください。 大弛峠から国師ヶ岳と北奥千丈岳: H24年7月の私達の山旅日記です。 ホームへ |