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No.167 奥鬼怒から物見山・大清水へ
平成16年(2004年)7月3日〜4日 晴れ


鬼怒沼湿原周辺の地図お勧め、静かな温泉ハイキング

第1日=東武鉄道鬼怒川温泉駅-《タクシー70分》-女夫淵温泉〜八丁の湯〜手白沢温泉
第2日=手白沢温泉〜加仁湯〜日光沢温泉〜オロオソロシノ滝展望台〜鬼怒沼湿原(標高2039m)〜物見山2113m〜(物見山新道)〜大清水-《タクシー80分》-上越新幹線上毛高原駅
 【歩行時間: 第1日=2時間 第2日=6時間】
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  「テルテル山岳会」のHさんやJさんと、湯量豊富な奥鬼怒(おくきぬ)温泉郷をスタート地点に、何かいいコースはないものかと色々と検討してみた。 鬼怒沼湿原往復のコースではちょっと物足りないし、黒岩山を経て尾瀬沼へ抜けるコース(歩程約9時間)は鈍足の私たちには大儀だ。 深山の風趣をたたえるという根名草山(ねなくさやま)を経由して金精峠へ抜ける道が面白そうだが、下山後の交通に一抹の不安を感じるし、ちょっときつそうだ…。 と、なにやかやの諸問題を考慮して、リーダーのHさんが選んだのが、鬼怒沼湿原から物見山を経て尾瀬沼への登山口でもある大清水へ抜けるコースだった。 流石に我等のリーダー。 行ってみて分かったのだが、このコースは、スキのない、変化のある、花も展望もある、歩きがいのある、素晴らしいコースだったのだ。 評判の良い手白沢温泉に一泊するのなら、とのことで、今回はHさんの奥様も参加された。 勿論私の妻の佐知子も小躍りして参加した。 北八ツが得意なJさんや、いつも眠っているAさんも参加して、総勢6名の温泉ハイキングと相成った。
手白沢温泉は近い
ブナ平を通過

  第1日目(7/3): 浅草駅に集合して、午前8時発の「東武特急きぬ103号」に乗り、鬼怒川温泉駅に着いたのは9時59分だった。 乗車券(1,500円)と座席指定の特急券(1,400円)を合わせて2,900円の運賃を安いと思ってしまうのは、JRが高すぎるからなのかなぁ…。 今回は私鉄の東武鉄道が利用できてよかったけれど、目的地によってはJRの特急や新幹線を利用せざるを得ない場合がけっこうある。 云いたくはないけれど、JRって本当に高いのだから…。
  鬼怒川温泉から女夫淵(めおとぶち)温泉まではバスもあるのだが、今回はタクシー(約1時間10分)を利用した。 鬼怒川に沿って西進し、奥鬼怒温泉郷の入口となる女夫淵温泉に降り立ったのは11時20分頃。 ここからは歩いて鬼怒川の源流を更に遡ることになる。
  この奥鬼怒歩道は安全上の理由(落石などの危険?)から、入口から1キロ弱の区間は通行止めになっていたが、開通したばかりの迂回路ができていた。 アスナロ、モミ、ウダイカンバ、ホオ、カエデの類、オオカメノキ、ミズナラ、ブナ、などの生い茂る原生林は相変わらず見事だった。
  途中の八丁ノ湯の広場で昼食。 例によって、Jさんの重たいザックから魔法のように色々な食料が出てきて、大宴会になってしまった。
  大々休止の後、加仁湯の手前から手白沢(てしろざわ)温泉へ向かう。 林道をくねくねと登るコースもあるのだが、私たちは大嵐山2304mの北麓をショートカットする急登コースを進んだ。 「ブナ平」の原生林は美しかったのだが、大量に飲んでしまったビールと日本酒のせいで、心臓がはちきれそうになった。
  ルピナスの咲く手白沢温泉に着いたのは午後3時15分。 玄関前の庭先で物静かな大女将が花などの手入れをしていた。 ここでは今が盛りのルピナスは、40年ほど前に買ってきた種を植えてここまで丹精して育ててきたのだそうだ。

右側にルピナスが咲いています
手白沢温泉の庭先にて

いい風呂でした
湯量豊富な露天風呂
奥鬼怒温泉郷「手白沢温泉」: 八丁ノ湯、加仁湯、日光沢温泉とこの手白沢温泉を合わせて奥鬼怒温泉郷(奥鬼怒四湯)と呼んでいる。 何れも湯量たっぷり(源泉掛け流し)の一軒宿だ。
  八丁ノ湯はログ調、加仁湯は鉄筋3階建て、とちょっと近代的なムードだが、山小屋風の日光沢と平屋造りの手白沢は、最奥のせいもあるのか、いまだにいにしえの風情が残されているのが嬉しい。 尤も、昔の手白沢温泉を知っているJさんは、変わってしまったなぁ、と、感慨もひとしおだったようだが…。 (この手白沢温泉は平成9年に建て替えられたとのことだ。)
  大きな窓を開けっ放しの内湯と、浴槽の床が水色のタイル貼りの露天風呂には、大量の湯が常に溢れ出ている。 泉質は単純硫黄泉。 ほとんど透明で、ほんのりと硫黄臭。 山の緑が前面に広がるロケーション。 驚いたのは、洗い場には蛇口がなく、トイから切り株の湯受けに源泉の湯がジャンジャン流れていて、それを桶で汲んで、新鮮な湯が使い放題、ということだ。 こんな贅沢、めったにあるもんじゃない。
  露天風呂の左奥(南西方向)に岩壁のかっこいい山が見えている。 他の入浴客に「あの山は何ですか」 と聞かれたので 「根名草山じゃないですか」 とテキトウに答えたけれど、後で調べたら、どうやらその手前の大嵐山2304mだったようだ。 知ったかぶりはするものじゃないと、またまた反省してしまった。
  夕食は箸でいただくフランス料理。 地元の食材を使った料理はどれもこれも美味しくて、ワインもたっぷりと飲んでしまった。 15〜20畳の客室数は6室のみ。 部屋には勿論テレビや電話はない。 風呂も料理もご主人(3代目とのこと)のこだわりがひしひしと伝わってくる、素晴らしい宿だった。 私たちの宿泊料は、15畳の部屋に6人で2食付一人13,000円(税込み)だった。 人数によって料金は変わるようだ。
日光沢温泉についてはNo.34鬼怒沼湿原を参照してください。

  第2日目(7/4): 未明、起床。 薄明かりの露天風呂に浸かってから、おもむろに準備して、宿を出たのは午前5時丁度だった。 宿のご主人に無理を云ってオニギリのお弁当を作ってもらい、前夜のうちに宿の清算を済ませておいたのだ。 数年前にこの手白沢温泉に泊まったことがあるHさんとJさんとAさんは、宿の美味しい朝食が食べれないのは残念だ、としきりに云っていた。
  私達夫婦にとっては懐かしの日光沢温泉(*)を通り抜け、宿の裏手の高台にある温泉神社をお参りして、吊橋を渡って、鬼怒川左岸に沿ってひたすら登る。 途中、オロオソロシの滝展望台で朝食の大休止。 朝風がひんやりとして肌に心地よい。
   ミズナラ、ブナ、モミ、アスナロ、ハリギリ、ネズコ、ナナカマドなどの原生林。 高度が上がってくるとダケカンバ、トウヒ、シラベなどが目立ってくる。 ウグイスがあちこちで囀っている。 傾斜が緩やかになって暫らく進むと木道になり、急に視界が開けて大小の地塘が広がる鬼怒沼湿原の南端に出た。 湿原の一面にワタスゲの白い綿毛がそよ風になびいている。
展望の無い物見山の山頂
物見山の山頂標識

山座同定をしているところです
物見山新道にて
  この湿原を縦断するのは、ゆっくり歩いても20分足らずだが、至福のひと時だった。 振り返って眺める根名草山が沼面に映えて美しい。 その右手の日光白根山(奥白根山)の山頂部もしっかりと見えている。 さらに進むと、正面には尾瀬の燧ヶ岳がそのとんがった双耳峰を現す。 緑の湿原にはワタスゲに交じりタテヤマリンドウが可憐に咲いている。 私たち6人は、三々五々、他に誰もいない広い湿原を独り占め(6人占め?)にして、悦に入った。
  湿原北端のT字路を左へ折れ、亜高山性の針葉樹とクマザサの山道を登る。 トレイルは思ったよりしっかりとしている。 ゴゼンタチバナが今を盛りに咲いている。 ほどなく、ひっそりとして地味な物見山の山頂へ着いた。 シラベ(トウヒだったかも?)の幹に「物見山(毘沙門山)」と書かれたブリキ(?)の標板がかかっていた。 物見山とは名ばかりで、展望はきかない。
  物見山からは尾根道(物見山新道)の急坂をひたすら西へ下る。 アズマシャクナゲがまだ咲いている。 相変わらずゴゼンタチバナの小群落が連続している。 所々開けていて北面から西面にかけての展望が素晴らしい。 急斜面の岩場で山座同定の小休止。 右端(北)から左(南西)にかけて、会津駒ヶ岳、燧ヶ岳、越後の山々、平ヶ岳、至仏山、尾瀬の笠ヶ岳、武尊山、手前の四郎岳、等々…。 「やっぱり物見山だね」 とみんなと頷き合った。
  正味2時間強の急降下(標高差約930m)で沢底(湯沢出合)に辿り着き、ほっとして昼食の大休止。 傍らの冷たい清流で顔を洗う。 木陰でうたた寝をしているH夫人の頬をHさんが小枝で突いている。 悪戯小僧のようなHリーダーの仕草に思わず笑ってしまったけれど、失礼だったかな。 H夫人は山の樹木や花に詳しくて、今回の私達夫婦はとてもよい勉強になったのだ。
  おしゃべりをしながら和気藹々とカラマツ林を抜け、なだらかな林道を40分程歩く。 午後1時10分、片品川に架かる橋を渡ると大清水の駐車場へ着いた。
  今日のコース、出遭ったのは二人の男性ハイカーのみ。 人影が少なく静かだったのが嬉しい誤算だった。 温泉宿も極上だったし、空梅雨のおかげもあってお天気にも恵まれた。 大清水の茶店で、皆で飲んだ生ビールの味は格別だった。
  程無く予約のタクシーが到着し、私たちは車中の人となった。
  ウトウトしていたら上越新幹線の上毛高原駅へ着いていた。 ここから東京までの電車賃は5,750円(乗車券2,520円・特別料金3,230円)。 矢張りJRは高いなぁ。



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