タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中
放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。
「“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)
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第271話「土曜日の“天花”のラスト」
「天花」の不安定さはまだ残ってると思うけど、
土曜日のラストシーンはすごく良かった。ジュース買いに行くと言って
電話をしてあげるだけでグッと来てたのに、
相手が信夫(香川照之)じゃなくて竜之介(平山広行)だよ!
秀子(片平なぎさ)、最高!……見てないか。
『電池が切れるまで』 第九話演出:唐木希浩
脚本:遠藤彩見そういえば再生不良性貧血という病気を初めて知ったのは
山口百恵の「赤い疑惑」だったなあ。
あれは事故でコバルト60を浴びたんだけど…。このドラマはそんな事故も出生の秘密もないけど
妙なチープさをかもし出すのは
財前直見の小学生のような指揮のせいか?美山加恋に見せ場があったのは良かった。
採点 6.0(10点満点平均6)
『新しい風』 第10話演出:松田礼人
脚本:成瀬活雄今回だけに関して言えば
相当に質の高い政治ドラマだった。
しかも妥協せずに工夫すれば
こんなに多くの内容を一話で描けることも示した。政治の暗部も描いたのに
やはり過度な演出はしていなかったし、
善と悪という単純な構造にもしていなかった。
国民の無関心もきれいにセリフに折り込んでいた。バイパスでの子供の事故死は
ストーリー上の盛り上げ効果も狙ったとは思うけど、
バレー中継の音楽「白鳥の湖」を流したまま
一滴の血も映さず2分半ですべてを描いた演出は秀逸。
とにかくほとんどムダのない1時間だった。ただ、作品全体を考えれば
今回の昂(吉田栄作)と真子(ともさかりえ)は
どう考えても萌(森迫永依)に寂しい思いをさせているし、
真子の絵本作家の夢も両立できているとは思えない。1・2話とその後でも感じたテーマのぶれを
今回も感じてしまったのが残念だった。採点 7.5(10点満点平均6)
『離婚弁護士』 第九話演出:田島大輔
脚本:林宏司次回の最終回までつながるラストエピソード。
渉外弁護士に戻るかどうかという
間宮(天海祐希)の選択と、
山岡(陣内孝則)との関係を絡めつつ、
セクハラ問題をメインにしてきた。このセクハラに関しては
かなり細かいところまで突っこんでいたのではないだろうか。
間宮がブチッと切れる感じが鋭く、
それでいて淡々と描かれていたのが良かった。事務所のメンバーに関しても
それぞれの思いや決意があって
ストーリーを盛り上げていた。最終回はきれいにまとめられるような気がする。
採点 7.0(10点満点平均6)
『ホームドラマ!』 第10話演出:片山修
脚本:岡田惠和今回も一話完結のような作りだったけど、
岡田惠和のうまさは感じられた。智彦(ユースケ)の死んだ妻・香(木村多江)に似た
桃子(木村多江)が現れて智彦が惚れるという展開は、
ヘタをすればありふれたエピソードになり勝ち。
それをこの作品のテーマに沿って
静かに描くあたりはさすがだった。あんなにみんなでコーディネートしたのに、
当たり前のように結婚指輪が薬指にあったシーンは良かった。
もちろん、段取りとしては誰か気づくだろ!
というアイテムではあるけど。初めて桃子の存在を知った時の将吾(堂本剛)の気持ちにしても、
智彦がフラれてちょっと嬉しい映子(いしだあゆみ)の気持ちにしても、
普通なら言葉にしない気持ちをきちんとセリフにしたのも
家族のあり方を描く意味ではいいアプローチだった。まあ、フラれて嬉しい、お祝いしよう!
というノリなら、
ぜひ餃子を作って欲しかったけどね。
酒井若菜もいたことだし。
(NHK「恋セヨ乙女」参照)岡田惠和ならちょっとやって欲しかった。
採点 7.0(10点満点平均6)
『霊感バスガイド事件簿』 最終話 さよなら霊感バスガイド演出:中島悟
脚本:大石哲也この手のドラマとしては
お約束の最終回ストーリー。
そして細かいところは相変わらず雑だった。“芝居もできないアイドルに平気でやらそうとする。
壁にぶつかるごとに妥協を繰り返しているのよ”
というセリフは自虐的で面白かったけど。総評としては、
番組開始前の予想よりはかなりマシで
一定のスタイルを持ったコメディーホラーになっていたと思う。菊川怜は今までと同じように声のトーンが常に同じで
成長はほとんど見られなかった。
ただ、後半はそのガサツな感じが町田のキャラと重なって
主役としての役割は何とか担っていたと思う。笑いの取り方には好き嫌いがあるとしても
個人的には高橋ひとみがいて助かった。
彼女がいたことで北村総一朗も暴走しなくて済んだし。ドラマ化のアイディアとしては悪くなかった。
脚本がもう少し良ければと思うと残念だった。採点 6.0(10点満点平均6)
脚本 ★☆☆☆☆
演出 ★★☆☆☆
配役 ★★☆☆☆
主題歌 ★★☆☆☆
音楽 ★★☆☆☆
新鮮さ ★★☆☆☆
話題性 ★★☆☆☆平均採点 5.70(10点満点平均6)
『仔犬のワルツ』 第10話演出:大谷太郎
脚本:吉野万理子知樹(忍成修吾)と幸子(森下千里)のパーツはいくら何でもなあ。
いや、このドラマはミスリードやフェイクだらけだから
エピソード自体はかまわないんだけど、
幸子は途中参加で存在そのものが謎だったから
もう少し説明して欲しかったな。そして律子(杉浦幸)は死亡。
ここは最終回にもうワンクッションありそうな気がするけど。で、真犯人は…、宮西(袴田吉彦)?
そんなの視聴者が当てられるわけないって(笑)まあ、犯人が誰かはもうどうでもよくなってるので、
何とか芯となる部分は最終回でまとめて欲しい。採点 6.0(10点満点平均6)
『オレンジデイズ』 最終話演出:生野慈朗
脚本:北川悦吏子ラストカットは良かった。
銀座で櫂(妻夫木聡)に再会した時、
沙絵(柴咲コウ)が思わず叫んだシーンに
インパクトがあったので、
あのまま声を出さなくてもかまわなかったと思う。それだけにラストでもう一度沙絵が
“いってらっしゃい”と言って、
櫂の本当に嬉しそうな顔で終わったのは効果的だった。ていうか、
オレンジを取ったシーンで終わらなくてよかったな。
あそこで終わってたら妻夫木聡が形無しだった。
豊川悦司は手を伸ばして取ってあげたわけだし…。この最終回、ストーリー的には結局どうってことなかったけど、
シーンとしては翔平(成宮寛貴)と茜(白石美帆)が
ラウンジで再会した場面が意外に良かった。
最後の方は白石美帆もかなり頑張ったんじゃないだろうか。櫂の妹(岡まゆみ)、そよ子(山田優)らに関しては、
当然のごとく一切フォロー無し。
今思えばあゆみ(上野樹里)だって必要なかったキャラだけど。作品全体については、
いくらラブストーリーの王道とはいえ、
ここまで新しさを拒否して
セオリー通りの焼き直しに徹したのは、
ある意味、すごかったと思う。じゃあ誰にでも作れたのかと言うと
もちろんそんなことはない。
考えるのと、作品を完成させるのでは、
まったく別の作業だからだ。これだけのクオリティーに仕上げたスタッフの
経験値の高さは認めるべきだと思う。テレビ局が同じような作品をまた作ること自体は別にかまわない。
年数が経てば新しい視聴者は増えているわけだし、
過去の作品をみんなが見直すわけでもないから。ただ、北川悦吏子はどうなんだ、という問題は残る。
若い脚本家が書くならともかく、
北川悦吏子じゃあまりにも後ろ向きだしね。不得意なサスペンスを書いて叩かれたりしたほうが
脚本家としては確かに前向き。
でも過去にそんなことがあったら
その反動で次は思いっきり後ろ向きなるかも。
…とか言って、勝手に弁護しておこうか(笑)この作品で懐かしさを感じた人は多いかもしれないけど、
一番ノスタルジーを感じていたのは北川悦吏子だったと思うよ。
いろんな意味で。最後に、主演の妻夫木聡と柴咲コウは本当に立派だった。
彼ら無くしてこの作品はあり得なかったと思う。
きちんと妻夫木聡・柴咲コウ版
「愛していると言ってくれ」になっていたしね。間違えた。
「いってらっしゃいと言ってくれ」だった。採点 6.0(10点満点平均6)
脚本 ★★★☆☆
演出 ★★★★☆
配役 ★★★★☆
主題歌 ★★★★☆
音楽 ★★★★☆
新鮮さ ☆☆☆☆☆
話題性 ★★★☆☆平均採点 6.82(10点満点平均6)
<ドラマ別レビュー:2004年4月〜6月編>
月■愛し君へ フジ系・21時
火■ワンダフルライフ フジ系・21時
■アットホーム・ダッド フジ系・22時
水■光とともに… 日テレ系・22時
木■電池が切れるまで テレ朝系・21時
■新しい風 TBS系・22時
■離婚弁護士 フジ系・22時
金■ホームドラマ! TBS系・22時
■霊感バスガイド事件簿 テレ朝系・23時15分
土■仔犬のワルツ 日テレ系・21時
日■オレンジデイズ TBS系・21時
他■ドリーム 〜90日で1億円〜
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