24ヶ月点検記録簿の書き方を中心に整備の方法を解説します。
最初にお断りしておきたいのが、分解整備を行う項目でも、分解せずに充分な点検ができ、充分安全が確認できれば、無理して分解整備しない。それにより、たとえプロが行ってもかえって調子が悪くなることは多々ある。という私の考え方に基づいた内容になっています。
共感できる方は、ご参考にしてください。
ちなみに私はこの程度の内容の整備でも、整備不足によりトラブルが起きたことは過去一度もありません。
項目は自動車整備振興会の「整備手帳」に準拠しています。
「記録簿記入例」
(H12車検時に、わたくしが実際に記入した記録簿を掲載しています)
項目 | 点検/整備のポイント | ||
エンジンルーム点検 | |||
パワーステアリング | |||
ベルトの緩み、損傷 | パワステベルトの損傷状態を目視でチェック。張り具合を指で押してチェックします。強い弾力があり1cm以上沈まないのがOK。 場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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取付の緩み | ハンドルを左右に切りながらエンジンルーム覗き込みます。エンジン音があがったりカチカチ音がしたりしますが、ガタガタいっている部分が無ければOKです。 | ||
オイルの漏れ、量 | 【下回りの清掃とチェック】 車体の下に潜り込んで雑巾で下回りをひととおり綺麗に拭きながらオイル漏れをチェックします。ブーツの破損をチェック。アームは強く左右にゆすってみて取付のガタつきがないかを確認します。特に ボルト周りのオイル漏れは要チェックです。 パワステオイルの量は、キャップ状のゲージを外して規定の範囲にあるかをチェックします。 場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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冷却装置 | |||
ファンベルトの緩み、損傷 | ファンベルトの損傷状態を目視でチェック。張り具合を指で押してチェックします。強い弾力があり1cm以上沈まないのがOK。 場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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冷却水の漏れ | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 ちなみに冷却水の漏れは車体下に潜ると、フロントタイヤの中間のやや前あたりに、ラジエターグリルがあるのでその部分の下側をチェックします。 |
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点火装置 | |||
スパークプラグの状態 | 今のプラグは基本メンテナンスフリーです。ハイエースのプラグは外しにくい位置にあるし、普通に走れていれば状態は良いと解釈して大丈夫です。10年以上なら買いなおしても良いかと思います。 | ||
点火時期 | 同上 | ||
ディストリビュータキャップの状態 | 普通に走れていれば何の問題も無い。 キャップからプラグコードを外して清掃しておく程度でOK。 こんなものバラすとかえって調子が悪くなる。 場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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燃料装置 | |||
燃料漏れ | ハイエースはエンジンルームが助手席下にあるので、燃料漏れしているなら普段から車内がガソリン臭くなる筈ですから、まず大丈夫でしょう。 | ||
リンク機構の状態 | アクセルを踏むと、スロットルレバーがキコキコ動けばOKですが、普段からアクセルを踏んで回転数があがる車であれば問題ないでしょう。 スロットルレバーの場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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スロットルバルブの作動 | EFIは普通に走れていれば問題ないと思います。 | ||
バッテリ、電気配線 | |||
ターミナル部の緩み、腐食 | バッテリの+と−の端子部分を乾いた布で拭いておきます。その際、液漏れによる腐食がないか(白や緑の錆など)がないかをチェックしておきます。場所は助手席の後ろのカーペットをめくって鉄板の蓋を外したところにあります。 | ||
電気配線の接続部の緩み、損傷 | エンジンルームのディストリビュータまわりや、電気コード関連の端子等がきっちりとついているか確認しながら清掃します。とくに埃や蜘蛛の巣?はショートにより思わぬトラブルのもとになりますので綺麗にしておく必要があります。 | ||
エンジン | |||
排気ガスの状態 | 【予備車検場】 予備車検は必ず行いましょう。陸運局(支局)の近くに、何ヶ所かあります。本番のラインの予行演習になりますし、24ヶ月点検整備の項目のチェックをこれにより、クリアできます。 この際の排ガスチェックで問題が無ければOKです。 予備車検場に行っていなくても、今は、車検終了後に24ヶ月点検整備をしても構わなくなったので、車検にとおればOKとしても構いません。 |
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エアエレメントの汚れ、詰まり | 車体下に潜り込んだ時に、右側フロントタイヤの真後ろ(ちょうど運転席のすぐうしろあたり)に、蝶ネジがついている丸い筒があります。これを外すとカバーが外れ、また、蝶ネジがありますが、これを外すとエアエレメントがごそっと落ちてきます。コンコンと叩いて埃を落とすか、掃除機で吸い出します。汚れがひどければ交換します。 | ||
公害発散防止装置等(順序は解説しやすいように入れ替えました) | |||
メターリングバルブの状態 | 【予備車検場】の排ガスチェックで問題がでなければ、問題はないと判断して良いと思います。 |
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チャコールキャニスタの詰まり、損傷 | |||
二次空気供給装置の機能 | |||
排出ガス再循環装置の機能 | |||
減速時排気ガス減少装置の機能 | |||
ブローバイガス還元装置の配管の損傷 | 車体下に潜り込んでインテークマニホールドから、エキゾストの先端まで(エンジンからマフラの先端までのマフラ部分全体)穴あきや、ガタツキがないかをチェックします。 車を動かした後は、非常に高温になっていますので気をつけてください。 |
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燃料蒸発ガス排出抑止装置の配管等の損傷 | |||
触媒等の排出ガス減少装置の取付の緩み、損傷 | |||
一酸化炭素等発散防止装置の配管の損傷、取付状態 | |||
室内点検 | |||
ハンドル | |||
操作具合 | 普通に運転できていれば問題ありません。 | ||
ブレーキペダル | |||
遊び、踏み込んだ時の床板とのすきま | ブレーキペダルにものさしをあてて、測定します。 遊びは1〜2cm、床板との隙間は5cm異常あればOKです。 |
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ブレーキのきき具合 | 【予備車検場】でブレーキテストの問題がなければOKです。 | ||
パーキングブレーキレバー | |||
引きしろ | パーキングブレーキをカチカチと引いていって、5ノッチ目前後でブレーキがかかればOKです。 引きしろが異常に長い場合や前回と比べて多くなっている場合は、ブレーキオイルの漏れか、ライニングの摩耗が考えられます。 |
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パーキングブレーキのきき具合 | 【予備車検場】でブレーキテストの問題がなければOKです。 | ||
クラッチペダル | |||
遊び、切れた時の床板とのすき間 | ATは必要なし。 | ||
足廻り点検 | |||
かじ取り車輪 | |||
ホイールアライメント | 【予備車検場】のサイドスリップテストで問題がなければOK | ||
ショックアブソーバ | |||
損傷、オイルの漏れ | ブレーキパット、ライニングのチェックの時にタイヤを外しますが、この時、ショックアブソーバもチェックします。ついでに雑巾で綺麗に拭いておきましょう。 | ||
サスペンション | |||
取付部、連結部の緩み、がた、損傷 | 【下回りの清掃とチェック】の時に、一緒に見ておきます。 | ||
ホイール | |||
タイヤの溝の深さ、異常な摩耗 | タイヤを外した時にチェックします。1.6mm以上あれば、OKですが、坊主に近くなるとμが低くなりますので、私のようにチョットしたことで車検にとおりにくくなるのと、何より危険です。 | ||
ボルト、ナットの緩み | ブレーキチェックの後、タイヤを取付けますが、きちんと締めておきましょう。 なお、ホイルキャップやセンタキャップは車検が終了するまで外しておきます。 (ボルトが露出するようにしておく) |
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フロントホイールベアリングのがた | 普通に走れていれば、これは、まず大丈夫ですが、タイヤを外す前にジャッキアップした状態で左右にガタガタと強く揺らしてみてガタツキがなければOKです。 | ||
リアホイールベアリングのがた | 同上。これも大丈夫でしょう。 | ||
ブレーキ・ディスク、ドラム | |||
ディスクとパットのすき間 | ジャッキアップした状態でタイヤを外す前にタイヤをくるくる回してみましょう。 回ればOK。 |
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ブレーキパットの摩耗、損傷 | パットの厚さをチェックします。 タイヤをつけている状態でもチェックはできます。 写真は左フロントですが、黄色で囲った点検孔からパット残量は見えます。(ホイルの内側から覗き込まなければなりませんが・・・) 今回は、どうせタイヤは外すのですから、直接見た方が楽です。 新品で1cm程度ですが3mm以下で交換です。 |
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ドラムとライニングとのすき間 | ジャッキアップした状態でタイヤを外す前にタイヤをくるくる回してみましょう。 回ればOK。 ギアをニュートラルに、パーキングブレーキを解除してから行う。 ジャッキアップしている時は、車が動かないように要注意。 |
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ブレーキ・シューの擂動部分、ライニングの摩耗 | ハイエースのリアブレーキはドラムですから、これは外す必要があります。 ライニングの厚みの点検だけなら誰でもできます。 まず、ドラムが外れやすいように、ドラムの外周を金槌などでコンコンと叩いておきます。で、ドラムを引っ張って外しますが、ドラムには、ネジが入るメス穴が2ヶ所ほどあります。ここにビスを取付けると引っ張り易くなります。(ごめん、直径忘れた。また見ておきます。) サイドブレーキを解除しておかないと外れませんのであしからず。 写真はドラムを外したところです。 新品で5mm。2mm以下で要交換。 組付ける際は、外す時に取っ手に使ったビスを外すのを忘れないように。 |
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ドラムの摩耗、損傷 | 外したドラムの内側を変な筋や、亀裂が無いかをチェックしておきます。 | ||
ブレーキのマスタシリンダ、ホイールシリンダ、ディスクキャリパ | |||
液漏れ | ハイエースのマスタシリンダはブレーキペダルの上の方にある大きな黒い円盤のハンドル側手前にあります。ダッシュボードの中にあるうえに、Audioの配線があるとなお、チェックしづらい場所。ブレーキペダル付近に漏れたオイルが垂れていないか、マスタシリンダ付近に手やウエスを突っ込んで、オイルで手が汚れなければOKでしょう。 ディスクキャリパはフロントブレーキパットをディスクに挟み込んでいる部品です。(上の写真参照) ホイールシリンダは、ふたつのブレーキシューの間にある筒状のものです。(上の写真参照) 液漏れがないかチェックしましょう。 |
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機能、摩耗、損傷 | 機能は予備車検で合格すればOK。 摩耗と破損は目視でチェックします。 |
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下廻り点検 | |||
エンジンオイル | |||
漏れ | 運転席のちょうど下あたりのオイルパンおよびドレンボルト付近に赤もしくは茶色の液漏れがなければOKです。 | ||
ステアリングギアボックス | |||
取付の緩み | 普通に運転できていれば、まず問題ありません。 | ||
ステアリングのロッドアーム類 | |||
緩み、がた、損傷 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
ダストブーツの亀裂、損傷 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
トランスミッショントランスファー | |||
オイルの漏れ、量 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 トランスミッションオイルの量は、エンジンルーム内のオレンジ色の取っ手のついたゲージを引き抜き、乾いた布で拭いて再度突っ込んでから取り出し、既定の範囲にあるかチェックします。 場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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プロペラシャフト、ドライブシャフト | |||
連結部の緩み | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
ダストブーツの亀裂、破損 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
デファレンシャル | |||
オイルの漏れ、量 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
ブレーキのロッド、ケーブル類 | |||
緩み、がた、損傷 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
ブレーキ・ホース、パイプ | |||
漏れ、損傷、取付状態 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 とくにディスクとドラムブレーキ機構のホース、パイプを拭き取りながら追っていきましょう。 ブレーキオイルの注入点検口近辺と、ブレーキペダル近辺、下回りのブレーキ周りのパイプ(チューブ)がチェックできれば充分です。(ボディに隠れているところまでは、まず破損しないので) |
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エキゾースト・パイプ、マフラ | |||
取付の緩み、損傷 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
マフラの機能 | 【予備車検場】の排ガステストで問題がなければOKです。 | ||
熱公害防止装置の遮断板の取付の緩み、損傷 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
下回り点検 | |||
フレーム、ボデー | |||
緩み、損傷 | 【下回りの清掃とチェック】で異常がなければOKです。 | ||
日常点検 | |||
ブレーキ液の量 | エンジンが温まっている時はHotの範囲で、冷えている時はCoolの範囲でブレーキオイルがあればOKです。 ブレーキオイルは減るものではありませんので、既定値異常に減っている場合はオイル漏れが考えられます。 原因がつきとめられないばあいは、プロにブレーキ関係のみのオーダ整備を出した方が賢明です。 場所は運転席のドアをいっぱいに開けた時の、ダッシュボードの横にあります。 |
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タイヤの空気圧 | 取付けているタイヤの基準値にあわせてください。なお、ノーマルタイヤの場合は運転席ドアを開いたときの、ボディ側のラッチの下あたりに適正値が書いてあります。 | ||
タイヤの亀裂、損傷 | タイヤを外した時に転がしながら見てください。 | ||
バッテリ液の量 | バッテリをチェックした際に基準値(MaxとMinの間)にあればOKです。場所は助手席の後ろ。 | ||
冷却水の量 | 量がMaxとMinの間にあるか確認。 場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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エンジンオイルの量 | ゲージを抜いて、オイルを拭き取った後、差し込み、抜いてチェック。 MinとMaxの範囲内にあるかを確認。 場所がわからない人はエンジンルームの写真参照。 |
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エンジンのかかり具合、異音 | 普通に車を載っていて異常がなければOKです。 | ||
低速、加速の状態 | 同上 | ||
各種ランプの点灯状態、損傷 | パートナーに確認してもらい、ライト下向、上向、ウィンカー左右、バックライト、ブレーキランプがキチンと動作すればOK. | ||
ウインドウォッシャ液の量、拭き取り状態 | ウォッシャ液を出して拭き取ってみましょう。 液の補充は、フロントは助手席ドアを開けた、足元のステップのあたり、リアワイパーがある場合は、リアゲートを開けた左側ライトの上あたりです。 |
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ワイパの拭取状態 | 同上 | ||
その他 | |||
CO、HC濃度 | 【予備車検場】の排ガステストをクリアした際、CO,HCそれぞれの値を聞いておき、その値を記入しておきます。 両方とも「0」であるのが正常 |
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タイヤの溝の深さ | 測っておいてその値を記入しておきます。ちなみに1.6mm以下ならNGです。 | ||
ブレ−キパット、ライニングの厚さ | 上記までの中で既にチェックしていますよね。値を記入しておきます。 |
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