タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第255話「人質3人、ドラマ関係者にまで叱られる」


イラクで拉致されていた人質3人が解放された。
何にしても無事だったのは良かったんだけど、
その言動にかなり非難も浴びせられている。

しかも木曜の夜に突然解放されたもんだから
テレビで緊急報道番組が入り、
「新しい風」と「離婚弁護士」の放送時間が
急遽ズレるという事態に。

おかげでドラマ関係者からも迷惑がられるという
ふんだりけったりの状況に陥ってしまった。
平和な国に生まれるのもそれはそれで大変だね。

自分は家にいたのでビデオ録画時間を変更して対応、と安心していたら、
「新しい風」の上にまた別の番組を録画してしまった!

この失敗はTBSお馴染みの
“初回だけ深夜に再放送”に救出してもらおう。




『オレンジデイズ』  ○

プロデュース:植田博樹
演出:生野慈朗
脚本:北川悦吏子
音楽プロデュース:志田博英
音楽:佐藤直紀
主題歌:「sign」Mr.Children
制作:TBS、TBSエンタテイメント
出演:妻夫木聡、柴咲コウ、成宮寛貴、瑛太、小西真奈美、小日向文世、
   風吹ジュン、山田優、上野樹里、岡あゆみ、佐藤江梨子、他

オープニングカットは
「愛していると言ってくれ」を意識した
オレンジをもぎるシーンから。
(「愛してる〜」は渋谷のキャットストリートで
 リンゴをもぎるシーンからだった)

櫂(妻夫木聡)の友人、
翔平(成宮寛貴)と啓太(瑛太)のキャラも自然で、
全体的には予想よりもずっと良かった。

少し気になったのは、
柴咲コウの表情も含めた沙絵のキャラクターと
沙絵が手話を使った時の字幕の文体が
あまり合っていなかったこと。

まあ、この初回では
なぜ沙絵が相手も分からない遊園地デートを
簡単に受け入れたかが描かれなかったので、
どちらに問題があるのかは分からないけど…。
沙絵のキャラクターに関しては
もう少し様子を見た方がいいかもしれない。

登場人物は少ないわりに、
翔平の妹に上野樹里(「てるてる家族」の秋子)、
櫂の妹に岡まゆみ(「金八5」のちはる)と、
脇はかなり豪華。

心配はやっぱり白石美帆だな。
この初回も出番が少ないのに不安はあった。
ヘンに足を引っ張らなければいいんだけど。

ハッキリ言って今のところ
作品としての新鮮味はない。
ただ、その経験値から
北川悦吏子の構成のうまさは感じた。
演出も丁寧だった。

本当にラブストーリーの王道を歩むなら
今後も徹底的に完成度を上げていくしかないだろう。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『ワンダフルライフ』  第1話

企画:石原隆、金井卓也
プロデュース:小椋久雄、木村元子
演出:植田泰史
脚本:福田靖
音楽:佐橋俊彦
主題歌:「キミはともだち」平井堅
制作:フジテレビ、共同テレビ
出演:反町隆史、長谷川京子、西村雅彦、八嶋智人、濱田マリ、川口翔平、
   市川由衣、堀内健、田口浩正、芳本美代子、大島さと子、犬山イヌコ、
   村松利史、木村多江、片岡涼、松川尚瑠輝、米谷真一、川北純也、
   高橋賢人、河原一馬、細山貴嶺、内藤惟人、伊藤拓也、村田将平、他

石原隆の「王様のレストラン」企画だった。
そういえば「王様〜」も主題歌はブレイク前の平井堅だったなあ。

演出も脚本も音楽も担当は違うのに
ここまで同じテイストに作れるなんて
ある意味、共同テレビはすごいと思う。

というわけで新鮮味はないけど
十分に見られる作品になっていた。
コメディーと言ってもあのスタイルの笑いなので
反町隆史も浮いてないし。

ただ、桐島(反町隆史)のケガの原因は
別のシチュエーションにした方が良かったのになあ。
まったく責任を感じない奥さん(木村多江)もひどいと思うけど。
まあ、わざとそうしたってことも考えられるか。

あと、堀内健は何やっても同じだな。
もうドラマはやらない方がいいと思う。

ほとんど期待してなかったけど
共同テイストが好きな人にはオススメのドラマだった。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『アットホーム・ダッド』  第1話 男子厨房に入る

プロデュース:安藤和久、東城祐司(MMJ)、伊達達哉(MMJ)
演出:塚本連平(MMJ)
脚本:尾崎将也
音楽:仲西匡
主題歌:「朝焼けの旅路」Jackson vibe
挿入歌:「愛しても愛し足りない」Fayray
制作:関西テレビ、MMJ
出演:阿部寛、宮迫博之、篠原涼子、中島知子、永井大、滝沢沙織、中村繁之、
   川島なお美、安藤咲良、吉川史樹、國武大志、他

テーマは悪くないんだけど、
主夫なんて、と思っている山村(阿部寛)の描き方が画一的で古くさい。
こういう反対側の立場を極端に描かないと収まりが悪い、
と思ってしまうスタッフには、
むしろ自信のなさを感じてしまうんだよな。

性格的にはどうしょうもない男が仕事を失い、
新しい生き方を見つけていく、
というパターンは「ワンダフルライフ」と同じ。

どちらも確立されたひな形に沿って作られているわけだけど、
こちらの方がB級テイストが強いため分が悪いか。
川島なお美のキャラなんてやれやれだもんな。

ただ、滝沢詩織が始めてドラマで光っている印象は受けた。
と言っても彼女がストーリーに大きく関わることはないかもしれないけど。

山村が主夫としての仕事を覚えていく次回以降を
もう少し見守ってみよう。

             採点  5.5(10点満点平均6)




『光とともに… 〜自閉症児を抱えて〜』  第1話

チーフプロデュース:梅原幹
プロデュース:櫨山裕子、内山雅博
演出:佐藤東弥
脚本:水橋文美江
原案:「光とともに… 〜自閉症児を抱えて〜」戸部けいこ
音楽:溝口肇
主題歌:「万華鏡キラキラ」RYTHEM
制作協力:オフィスクレッシェンド
制作:日本テレビ
出演:篠原涼子、小林聡美、山口達也、斎藤隆成、高橋惠子、金沢碧、
   武田真治、渡辺いっけい、鈴木杏樹、井川遥、甲本雅裕、他

初めての子供を妊娠した喜び、
生まれてくる子供への期待からスタートしているので、
光(佐藤隆成)が自閉症と診断される場面も描かれた。

この直前の幸子(篠原涼子)の悩み、
幸子の母親(金沢碧)の気遣い、
告知された時の動揺、
そして夫(山口達也)への報告の仕方などは、
かなり丁寧な描き方だったと思う。

ただ、夫や姑(高橋惠子)を最初は無知に描くのは仕方ないにしても
もう少し別の描写をして欲しかったなあ。
まあ、現実にもああいう人はいっぱいいるんだろうけど。

そういう意味では今後の相良(鈴木杏樹)の扱い方も心配。
自閉症に関する無理解を描くことは重要だけど、
ドラマとしての精度を落とすようなことはして欲しくないな。

元ヤンキーで同じ自閉症児を持つ母親役に
井川遥を起用したのもどう出るか。
元ヤンキーって滲み出るものだから
井川遥には荷が重そうだけど。

あと、光のナレーションは入れない方がいいと思うな。
“ごめんね、ママ〜”は確かに泣けたけど、
あれはやっぱり客観的な願望だと思う。

聞きたくても聞けない、
抱きしめたくても抱きしめられない辛さが
この世界にはあると思うので。

それでも小林聡美はいるからこのドラマは大丈夫。
そう思わせるくらい、
小林聡美の落ち着いた、淡々とした演技は良かった。

幸子に向かっての“あなたのせいじゃない”という言い方は
本当に人を救う言い方だった。

本格的な学校生活が始まる次回以降に期待しよう。

             採点  7.0(10点満点平均6)




『離婚弁護士』  第一話

プロデュース:長部聡介、瀧山麻土香
演出:光野道夫
脚本:田渕久美子
脚本協力:西口典子
音楽:井上鑑
主題歌:「心の旅人」hitomi
挿入歌:「ホワット・アム・アイ・トゥ・ユー?」ノラ・ジョーンズ
制作:フジテレビ
出演:天海祐希、玉山鉄二、ミムラ、佐々木蔵之介、津川雅彦、久我陽子、陣内孝則、

ストーリーはそんなに悪くなかった。
小さい仕事は受けないと言っていた間宮(天海祐希)が
離婚訴訟を受ける流れなんかムリがなかったし。

ただ、カット割りが多すぎて見にくかった。
出だしは間宮が独立し、困難な状況になるまでを
テンポ良く描くつもりだな、と思っていたけど、
結局、ほとんど最後までそれは続いた。

こういう手法は演技がヘタな役者が集まった時には有効だけど、
天海祐希を主演に迎えてやるのはもったいないよな。

しかも、手持ちのカメラを多用していたため、
画面も揺れて見づらかった。
ポイントで使うのはかまわないと思うけど、
全体的に落ち着きがなくなるほどの使い方だった。

一見、ダメな人間たちが
それぞれの個性を発揮して最高のチームになる、
というスタイルはオーソドックスだけど悪くない。
キャストも悪くない。
とりあえず演出と編集を何とかしてもらいたい。

             採点  6.0(10点満点平均6)




『ホームドラマ!』 

プロデュース:橋本孝、瀬戸口克陽
演出:平野俊一
脚本:岡田惠和
音楽:長谷部徹
主題歌:「ORIGINAL COLOR」堂本剛
オープニング・テーマ:「アローン・アゲイン」グルバート・オサリバン
制作:TBS、ドリマックス・テレビジョン
出演:堂本剛、ユースケ・サンタマリア、酒井若菜、紺野まひる、井上真央、
   いしだあゆみ、田村高廣、西洋亮、泉澤祐希、岡本綾、岡田浩暉、
   木村多江、長内美那子、六角精児、山田明郷、斉藤陽一郎、他

最近では珍しい初回2時間スペシャル。
さすがに見ごたえがあった。

普通は回想程度で済ませる事故シーンに時間をかけたことで
その後の展開に説得力が出たと思う。
まあ、病院のシーンは多少スロー映像が多くて
間延びした感じはあったけども。

それにしてもこの作品はキャスティングがベストだろう。
事故前後という特殊なシーンだったにしても、
酒井若菜、紺野まひる、井上真央は
以前の役を引きずらずにいいキャラを組み立てたと思う。

田村高廣、いしだあゆみのベテランも全体を締めてる。
これで堂本剛とユースケのかけあいが入ってきたら
相当見どころは増えるだろう。

たとえ2時間かけても初回で全員が揃わなかったのは正しいし、
最初に将吾(堂本剛)の家に来たのが光太(西洋亮)というのも
流れとしてはうまかった。

             採点  7.0(10点満点平均6)





<ドラマ別レビュー:2004年4月〜6月編>
 
愛し君へ             フジ系・21時       
ワンダフルライフ         フジ系・21時  
 
アットホーム・ダッド       フジ系・22時         
光とともに…           日テレ系・22時       
電池が切れるまで         テレ朝系・21時
 
新しい風             TBS系・22時       
 
離婚弁護士            フジ系・22時         
ホームドラマ!          TBS系・22時  
 霊感バスガイド事件簿       テレ朝系・23時15分     
仔犬のワルツ           日テレ系・21時        
オレンジデイズ          TBS系・21時







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