タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

>>バックナンバー >>過去のドラマ別レビュー 


第248話「フジの深夜ドラマが復活」

「3番テーブルの客」「美少女H」などを世に送り出した
フジの30分深夜ドラマが4月から復活することになった。
タイトルは「ディビジョン1」(月曜深夜1時半〜)。

自局の若手スタッフを発掘するという主旨でも
過去に大きな実績を上げているフジの深夜枠。
数年後にゴールデンでヒット作を生み出せる才能を持った
プロデューサー、ディレクターを見つけたい。



『サラリーマン金太郎4』  Fight 9

演出:宮田勝典
脚本:関根俊夫

結局、意外な真相はまったくナシ。
しかも最後はやっぱり殴ってカタをつけるという
やれやれの展開。

それにしてもラストカットは
ちゃっちくて笑えたなあ。

もうどうにでもなれ、って感じ。

             採点  4.5(10点満点平均6)



『エースをねらえ!』  STORY 9

演出:六車俊治
脚本:瀧川晃代

吹き替えもあったような感じだけど、
今までで最も迫力ある映像に仕上がった
ひろみ(上戸彩)・竜崎(松本莉緒)戦。

ひろみやお蝶夫人の心情も描きつつ
うまく見せたと思う。

そしてストーリー的には
ひろみと藤堂(吉沢悠)がアメリカに旅立ち、
宗方(内野聖陽)が病室で亡くなるところまで。
…と思ったら、
数年後にひろみがUSAオープンに出場するシーンも加えていた。

回数表記が「LAST STORY」ではなく「STORY 9」だったので、
続編も作る気満々だと思ったんだけどなあ。
でもその気になれば空白の数年間をまた作ることも可能か。
キャストのスケジュールが押さえられればやりそうだな。

ま、ひとつの作品としては
あのラストは全体を引き締めていたと思うので
いい終わり方だったと言っていいだろう。

さて、全9話の全体的な印象だけど、
正直言って後半はやや失速したと思う。
でも、今回読み直したわけじゃないけど、
原作も確かひろみが世界を意識するようになってからは
失速していたように記憶している。

等身大だったひろみが
どんどん手の届かない存在になってしまったのが
感情移入を薄れさせたのかも知れない。

ただ、この作品の最も優れた点は、
テニスをテーマにしたスポコン物語でありながら、
登場人物の人間関係や恋愛感情を
かなり繊細に描いていた部分だ。

今回のドラマも
その部分はきちんと押さえていたと思う。
そういう意味では正しいドラマ化だったと言っていいだろう。

とくにお蝶夫人を演じた松本莉緒の貢献度は高かった。
その得意なキャラクターだけに頼ることなく、
父(夏八木勲)との関係、
ライバル・お蘭(酒井彩名)との関係、
後輩・ひろみとの関係を繊細に演じていたと思う。

いずれにしてもこのドラマは
キャストがみんな頑張ったな。
いつかまた見てみたい。

             採点  7.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★☆☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  6.83(10点満点平均6)



『DOLL HOUSE』  9th stage

演出:加藤新
脚本:高橋留美

B級ドラマではお約束の温泉地ロケ。
そのわりに入浴シーンは控えめで行く意味ナシ(笑)

礼子(松下由樹)がアキ子大臣(中尾ミエ)に
マッサージするところだけだったな、面白かったのは。

コメディーセンスがあるのは松下由樹だけ。
それなのに佐野史郎がお笑い部分を担当してる。
そこが見ていてものすごく鬱。

             採点  5.0(10点満点平均6)



『白い巨塔』  第二十話

演出:河野圭太
脚本:井上由美子

里見(江口洋介)の最後の証言は良かった。
ただ、それ以外はかなりあっさりとした描き方だった。

とくに財前(唐沢寿明)がケイ子(黒木瞳)に
母を頼むと言うシーン。
あそこはもっと盛り上げてもよかったと思うけど。

そしてこの作品で何よりも重要な
財前が信頼できる医師は、結局、
里見と東(石坂浩二)しかいなかったという点。
ここで感動できなかった。
感動できる描き方をここまでほとんどしてこなかった。
オールドファンが今回のドラマ化で最も不満に思っていた点は
やっぱりここなんじゃないだろうか。

最終回はどんな盛り上げ方をするのか。
とりあえず注目してみよう。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『奥さまは魔女 〜Bewitched in Tokyo〜』  第9話

演出:酒井聖博
脚本:後藤法子

親子は感動的に描けていた。
だからこそ前半のドタバタを
面白く描かなきゃいけないのに…。
そのセンスに欠けるんだよな、このスタッフは。

でも次回はいよいよ山内菜々の登場。
あと2回しかないけど彼女に賭けよう。

             採点  6.0(10点満点平均6)



『スカイハイ2』  第八死 予言

演出:中原俊
脚本:田辺満、小川智子

前作とは違うタイプの最終章だけど、
これはこれで面白い。

とりあえず今回で決着がついた
かの子(渡辺えり子)のエピソードも、
怨み殺すパターンとしては筋が通っていたと思う。
その中で人に見えないものが見えてしまう占い師の哀しさが
うまく表現されていたと思うし。

次回はかの子が救ったはずのそら(高橋真唯)が死者。
川村(沢村一樹)との間にどんなつながりがあるのか。
イズコ(釈由美子)の活躍が楽しみだ。

             採点  6.5(10点満点平均6)



『彼女が死んじゃった。』  最終話

演出:猪股隆一
脚本:一色伸幸

ゆかり(木村佳乃)の自殺の理由を196人に聞けば、
196通りの理由がある。
そしてそれはすべて本当。
この結論を消化不良に感じた人もいたかもしれないけど、
個人的には非常に納得のいく締め方だった。

ハジメ(長瀬智也)、玲子(深田恭子)、良夫(香川照之)、
3人の心の動きを見ているだけでも、
人はそれぞれの人生を生きている、
という部分がきちんと描けていた。
これは立派だったと思う。

蒲田(西村雅彦)と桜(いしのようこ)の2人も、
最後に蒲田がハジメに言った
“お前には明日がある。俺には愛と金しかない”
というセリフでその存在意味を示した。

もちろん、八千代(赤坂七恵)の存在も、
ハジメが自分の生き方を見つめ直す上で重要な存在だったし。

前にも書いたように、
たった一夜でゆかりがハジメを
自分と同じだと感じたエピソードにはもの足りなさを感じた。

ドラマの前半で長瀬智也が作っていた
軽い雰囲気のハジメのキャラクターは工夫がなくて、
これにも不満はあった。

この最終回に関して言えば、
イメージ的なものだったとしても、
花火の打ち上げは強引だったと思う。

ただ、作品全体のテーマ、トーン、そしてその作法に、
見どころは多かった。
何とも言えないせつなさを表現できていた。
その意味ではやはり「すいか」に近い作品だったと思う。

死んでしまったゆかりの物語ではなく、
実にリアリティーのある、
生きている者たちの物語だった。

             採点  8.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★★★
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  7.11(10点満点平均6)



『砂の器』  第9話

演出:山室大輔
脚本:龍居由佳里

渡辺謙と松雪泰子の対峙は見ごたえがあった。
ただ結局、今西(渡辺謙)と和賀の父親(原田芳雄)との会話も
警察署での今西とあさみ(松雪泰子)の会話も、
この段階では見せない構成。

それ自体はかまわないと思うけど、
この第9話だけに関して言うと、
かなりイメージ的な映像ばかりになってしまって
もの足りなさは感じてしまった。

とくにこういう構成だと
後ろで音楽を長し続けなくては間が持たないので、
せっかくの劇伴もしつこく感じられてしまった。

次回はやっと大畑事件の詳細が描かれそう。
すべてはこれ次第だな。

今西が言った“(和賀は宿命を)背負いきれなくなった”
という言葉に期待したい。

             採点  6.5(10点満点平均6)





<ドラマ別レビュー:2004年1月〜3月編>
 
プライド             フジ系・21時   
 乱歩R              日テレ系・22時     
ファイアーボーイズ・め組の大吾  フジ系・21時  
 
僕と彼女と彼女の生きる道     フジ系・22時         
それは、突然、嵐のように…    TBS系・22時       
サラリーマン金太郎4       TBS系・21時 
 
エースをねらえ!         テレ朝系・21時
 
ドールハウス〜特命女性捜査班〜  TBS系・22時       
 
白い巨塔             フジ系・22時         
奥さまは魔女           TBS系・22時  
 スカイハイ2           テレ朝系・23時15分     
彼女が死んじゃった。       日テレ系・21時        
砂の器              TBS系・21時

ちょっと待って、神様/3時のおやつ/
  STAR’S ECHO 〜あなたに逢いたくて〜/
  それからの日々/





[ロビー田中の自己紹介]


[トップへ]