タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第252話「“オレンジデイズ”の主題歌はミスチル」

北川悦吏子脚本、妻夫木聡・柴咲コウ主演、
「オレンジデイズ」の主題歌が
ミスチルの新曲「Sign(サイン)」に決まった。

ちなみに月9の「愛し君へ」は森山直太朗、
テレ朝木9は平川地一丁目と星村麻衣…。

でも主題歌ってスタッフロールの映像とのマッチングで
印象がまったく違うんだよな。

どんな使い方をされるか楽しみだ。



『奥さまは魔女 〜Bewitched in Tokyo〜』  最終話

演出:吉田秋生
脚本:後藤法子

ムリに笑いを取りに行くシーンが少なかったおかげで
最終回は全体的に見やすかった。
それなりに感動もできたし。

このドラマはアメリカ版のオリジナル全254話の中から
1話につき数エピソードを取り入れて、
そこに嫁姑問題など日本らしい特徴も混ぜてまとめたわけだけど、
良く言えば身近で分かりやすく、
悪く言えば下世話なB級作品になっていた。

結果として個人的には見るたびに飽きてきたし、
笑えない分、感動も薄れていった。

笑いのポイントについては個人差があるので
ことさら問題にするつもりはないけど、
こんなにも有名な作品を連ドラ化するという企画においては、
やはり日本人スタッフにセンスが足りなかったと言っていいと思う。

当初、主要キャストについては文句ないと思っていたのに、
やはり米倉涼子のガサツな雰囲気は、
アメリカンコメディーの艶っぽさを再現する上で大きな障害になった。
これも大きなマイナス点だったと思う。

もちろん、あれだけの衣装をチャーミングに着こなせるのは
今、米倉涼子しかいないだろうことは分かっていても…。

キャスティングに関しては、
ハマっていたはずの夏木マリも
出すぎることでしつこく感じてしまった。

原田泰造と冨士眞奈美、岸田今日子くらいだったな、
結果的に許せたのは。

非常に期待していた作品だっただけに、
残念な結果となってしまった。

             採点  6.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★☆☆
                  演出  ★★★☆☆
                  配役  ★★★☆☆
                  主題歌 ★★★★☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★☆☆☆

           平均採点  6.18(10点満点平均6)



『砂の器』  第11話 最終楽章・後編

演出:福澤克雄
脚本:龍居由佳里

映像で見せ切った最終回、という感じだろうか。
この回だけに関して言えば、
それなりのパワーがある映像だったと思う。

ただ、見終わった後の印象としては複雑だった。
ラスト2話のような締め方をするなら、
1〜9話は違ったんじゃないかというような…。

個人的には、あさみ(松雪泰子)の存在は賛成派だった。
和賀(中居正広)を主人公にして描くなら
あさみというキャラクターを新たに作るのは正しい選択だったと思うし、
9話まではその動かし方も悪くなかったと思う。

今西(渡辺謙)の家族も登場させ、
寝たきりの父親まで設定したのは奥行きを感じさせた。
なのにラスト2話は、
そうしたものがほとんど関係なくなってしまった。

和賀の宿命をどう描くか、そこにどう説得力を持たせるか、
ここが今回のドラマ化の最重要課題だったのは分かる。
でも、最後はそこに神経を集中しすぎて
作品全体としてのバランスを欠いてしまった格好だ。

玲子(佐藤仁美)、関川(武田真治)、麻生(市村正親)…、
結局、脇役はみんな中途半端だったし。

実質上の原作となった映画版へのこだわりが捨てきれずに
時代背景が曖昧になったという側面もある。
やっぱり現代で「砂の器」としてやるには
企画そのものにかなりムリがあったのかもしれない。

渡辺謙はさすがに存在感があった。
福澤克雄の演出はいつも以上に重厚感があった。

ただ、「砂の器」は永遠に未完なのではないか、
という気も改めてした。

             採点  7.5(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★☆
                  演出  ★★★★★
                  配役  ★★★★☆
                  主題歌 ★★★★★
                  音楽  ★★★★☆
                  新鮮さ ★★★☆☆
                  話題性 ★★★☆☆

           平均採点  7.05(10点満点平均6)



『てるてる家族』  全150話

制作統括:若泉久朗
演出:榎戸崇泰、高橋陽一郎、他
脚本:大森寿美男
原作:なかにし礼
音楽:宮川泰
制作:NHK大阪
出演:石原さとみ、浅野ゆう子、岸谷五朗、紺野まひる、上原多香子、上野樹里、
   藤村志保、錦戸亮、でんでん、有薗芳記、森口博子、桂小米朝、九十九一、
   紅萬子、大村崑、杉浦太陽、川岡大次郎、近藤芳正、松尾敏伸、田島寧子、
   いしのようこ、樋口浩二、伊藤正之、ミッキーカーチス、小林ゆか、
   田島有魅香、大島正華、滝裕可里、中村愛、櫻谷由貴花、釜口茅那子、
   足立悠美加、米田良、他

ミュージカル仕立てという企画が最初は敬遠されたのか
視聴率はそれほど高くなかったようだけど、
笑えて泣ける、非常に質の高い作品だった。

特筆すべきは繊細な脚本。
ストーリーの流れが奇をてらったものでなくても、
そこに絡む人物の心理を丁寧に拾い、
生きた言葉で全体を紡いでいた。

笑いを取りに行くシーンは、
やはり浅野ゆう子、岸谷五朗らのセンスに
引っ張られた部分は大きいと思う。

でも、そんなお笑い部分やミュージカルシーンを
メリハリの一部として浮き立たせるくらい、
家族の絆、人の繋がりをきちんと描いていた。

夏子(上原多香子)のモデルとなったいしだあゆみを
売れないクラブ歌手として起用した時も、
ヘタをすれば企画倒れになってしまうような状況を
見事なドラマにしていた。

中でも一番印象に残っているのは、第13週、
工場長(でんでん)が20年前に別れたままになっていた
娘(松本麻希)と再会するエピソード。

工場長と娘の心理だけでなく、
無断でラジオ局にハガキを出してしまった
冬子(石原さとみ)の複雑な気持ちが
痛いほど伝わってきた。

第6週、少女時代の冬子(田島有魅香)と
少年時代の和人(米田良)の別れもせつなくて、
これはラストのハッピーエンドをより盛り上げる効果にもつながっていた。

まあ、最後の和人(錦戸亮)が歌うシーンは
さすがにどうかと思ったけど、
告白が“ラブ・ミー・テンダーや”の一言だったのは良かったな。

冬子のモデルとなったいしだあゆみの妹は、
実際は宝塚音楽学校を卒業後、上京して歌手になり、
芽が出ないまま1年でなかにし礼と結婚するわけだけど、
このドラマでは才能を開花させた2人の姉とは違う距離で母親と接しつつ、
自分で夢を切り開いていった末っ子として良く描けていたと思う。

そういう意味では最後に秋子(上野樹里)の旅立ちのシーンを
丁寧に描いてくれたのも嬉しかった。
両親に話す前に、
冬子(石原さとみ)にその夢を打ち明ける場面も含めて。

個人的には秋子のキャラクターが好きだった。
秋子には秋子の悩み、寂しさがあったと思うけど、
あんな風に生きられたらいいな、とさえ思った。

もちろん、ヒロイン・石原さとみの頑張りには拍手を送りたい。
物語が進むに連れてどんどん良くなっていった。
笑いの間も、すぐに浅野ゆう子と岸谷五朗の間をキャッチして、
違和感なく溶け込んでいった。
コメディエンヌの才能もあると思う。

4月3日放送の日テレ系スペシャルドラマでは、
ソニンや「桜咲くまで」の沢尻エリカらと一緒に
チアリーダーの役をやる予定。
冬子以外の役をどう消化して演じるか、
かなり楽しみだ。

ここ数年では最高と言っていい
NHK朝の連続テレビ小説だった。

             採点  8.0(10点満点平均6)

                  脚本  ★★★★★
                  演出  ★★★★☆
                  配役  ★★★★★
                  主題歌 ★★★☆☆
                  音楽  ★★★☆☆
                  新鮮さ ★★★★☆
                  話題性 ★★★☆☆





<ドラマ別レビュー:2004年1月〜3月編>
 
プライド             フジ系・21時   
 乱歩R              日テレ系・22時     
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 スカイハイ2           テレ朝系・23時15分     
彼女が死んじゃった。       日テレ系・21時        
砂の器              TBS系・21時

ちょっと待って、神様/3時のおやつ/
  STAR’S ECHO 〜あなたに逢いたくて〜/
  それからの日々/恋する京都/てるてる家族





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