タイトル■ドラマは何でも教えてくれる
書き手 ■ロビー田中

放映中のTVドラマを“ほぼすべて”見ている、
驚異のドラマ通による、ドラマに関するコラム。

“TVドラマなんかくだらない”と言う人に、
あえて反論するつもりはありません。ただ、
“すべてのTVドラマがくだらないわけでは
ない”とだけ言っておきます。これからも僕は
TVドラマを見続けていくでしょう」(田中)

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第253話「1〜3月期を振り返る」


大作のリメイク、名作コミックのドラマ化、
ヒット作の続編など、注目作が多かった1〜3月期。
まずは視聴率(関東)から振り返ってみよう。

  プライド             24.90%
  僕と彼女と彼女の生きる道     20.68%
  砂の器              19.39%
 (こちら本池上署)         14.99%
  エースをねらえ!         13.22%
  ファイアーボーイズ・め組の大吾  11.99%
 (警視庁鑑識班2004)        11.65%
  奥さまは魔女           11.17%
  サラリーマン金太郎4       11.16%
  スカイハイ2           9.87%
  ドールハウス〜特命女性捜査班〜  9.13%
  それは、突然、嵐のように…    7.31%
  彼女が死んじゃった。       6.97%
  乱歩R              5.69%

  白い巨塔(10〜3月)       23.71%

「僕と彼女〜」の猛追も及ばず、
結局、視聴率のトップは「プライド」。
ただ、あれだけのスタッフ、キャストを揃えて
この数字というのは明らかに狙いより低いし、
大多亮がテコ入れする月9の第1弾としては
大きな問題を残す作品になったと思う。

「砂の器」は初回に26.3%を記録したものの、
後半は15%台まで落ちる回もあって、
視聴者の興味を持続させることはできなかった。

視聴率の急降下という意味では
「彼女が死んじゃった。」がひどかった。
初回は14%だったのに第2話は5.6%。
確か裏番組が強かったんだけど、
それでもその後ほとんど浮上することなく、
ラス前は4.5%まで落ちた。

「奥さまは魔女」の11%台も
その企画の大きさから言えば
負け組のひとつと言えるだろう。

ちなみに個人的な評価点の平均は以下の通り。

  僕と彼女と彼女の生きる道     7.83
  彼女が死んじゃった。       7.11
  砂の器              7.05
  白い巨塔(10〜3月)       6.95
  エースをねらえ!         6.83
  ファイアーボーイズ・め組の大吾  6.68
  奥さまは魔女           6.18
  スカイハイ2           6.11
  プライド             5.91
  乱歩R              5.65
  それは、突然、嵐のように…    5.25
  ドールハウス〜特命女性捜査班〜  5.20
  サラリーマン金太郎4       5.10

今期、最も志が高く、完成度も高かったのが
「僕と彼女と彼女の生きる道」だったのは間違いないだろう。
ドラマとしての好き嫌いはあるにしても。

そういう意味では「彼女が死んじゃった。」も
好き嫌いがハッキリ分かれるタイプのドラマだった。
ただ、連ドラでこれをやった意気込みは買いたいし、
「すいか」に続いて日テレのやる気を感じた作品ではあった。

名作のドラマ化、「白い巨塔」と「砂の器」に関しては、
個人的には「白い巨塔」よりも「砂の器」の方が見る価値はあったと思う。
両方とも不完全な作品ではあったけど、
「砂の器」の方がいいチャレンジをしていた。

最終的なまとまりとしてはこの2作品より「エースをねらえ!」の方が上で
今期のベスト3を選ぶなら「エース〜」を3位に入れたいと思う。

「ファイアーボーイズ」までが何とか合格点。
「奥さまは魔女」は返す返すも残念な仕上がりだった。

レビューをしていなかったけど、
「こちら本池上署」は方面本部長(西岡徳馬)の出演を
かなり控えさせていて前作よりは見やすかった。
10月からの次シリーズは出演者にかなり変動がありそうな予感。
ていうか、まだやるんだな(笑)

「警視庁鑑識班2004」は、
想像していたよりはまとまっていた。
基本的には一話完結のスタイルをとっていたわけだけど、
1時間の割にはがんばっていたと思う。

ただ、新鮮味がなかったのも事実。
こういうのはたまに2時間で丁寧に作る方が
やっぱりいいんじゃないかな。

レビューしていなかったものの中では
「ミニモニ。でブレーメンの音楽隊」がやたら良かった。
今回の藤本有紀の脚本は抜群に面白かった。
一般的に想像するアイドルドラマではないので
未見の人はDVDが出たら(4/28発売)ぜひ見て欲しい。

で、いつも選んでいる今期の個人賞。
最優秀主演男優賞は「僕と彼女〜」の草なぎ剛で決まりだろう。
基本的には前作と同じトーンではあったんだけど、
仕事人間だった序盤から、
子供の愛し方が分からない様子、
愛そうとする努力、
自然に湧き上がってくる愛しい気持ち、
その変化をうまく演じていた。

最優秀主演女優賞は「エースをねらえ!」の上戸彩、
と言いたいところだけど、
「ちょっと待って、神様」の宮崎あおい、
「てるてる家族」の石原さとみと比べると勝ち目はない。
それくらいこの2人は良かった。
ゴールデンタイムの連ドラではないけど、
難易度から言ってここは宮崎あおいに贈りたい。

最優秀助演男優賞はやっぱり「砂の器」の渡辺謙かな。
「彼女が死んじゃった。」の香川照之も良かったけど、
「砂の器」に渡辺謙がいなかったらと思うと
かなりゾッとするし。

最優秀助演女優賞は「僕と彼女〜」の小雪か。
「エースをねらえ!」の松本莉緒、酒井彩名、森田彩華や
「奥さまは魔女」の冨士眞奈美も良かった。
でも小雪のあの役は相当難しかっただろうと思う。
久々に美しさも際立っていたので小雪に。

新人賞はもちろん「僕と彼女〜」の凛ちゃん(美山加恋)で。
子役ではなく、女優として賞したい。

というわけで、おのずと最優秀作品賞は
「僕と彼女と彼女の生きる道」ということになる。
難点がなかったわけではないけど、
前作を上回る完成度で仕上げた関係者には
素直に賛辞を送りたい。


1〜3月期全体を振り返ると、
話題作が多かった割には豊作とは言えないクールだった。
しかも、比較的出来が良かった作品のほとんどがシリアス系で、
ドラマに楽しさを求める人には辛いクールだったかもしれない。

個人的にも何より次を楽しみにしていたのは「てるてる家族」だった。
この作品はNHKの朝ドラ歴代最低視聴率
というレッテルを貼られてしまったけど、
これはNHK側が弁明しているように
7時半からのBS視聴が増えたことや、
朝にドラマを見続けるという習慣が
なくなってしまったことが原因だと思う。

自分も含めて単なるドラマ好きは
土曜にBSで1週間分まとめて見ていると思うし。
内容は間違いなくここ数年で一番面白かった。

「僕と彼女〜」は別格にしても、
「てるてる家族」「ちょっと待って、神様」
「ミニモニ。でブレーメンの音楽隊」など、
結局、面白くて質の高いドラマはNHKが作っていると
改めて感じた1〜3月クールだった。




<ドラマ別レビュー:2004年1月〜3月編>
 
プライド             フジ系・21時   
 乱歩R              日テレ系・22時     
ファイアーボーイズ・め組の大吾  フジ系・21時  
 
僕と彼女と彼女の生きる道     フジ系・22時         
それは、突然、嵐のように…    TBS系・22時       
サラリーマン金太郎4       TBS系・21時 
 
エースをねらえ!         テレ朝系・21時
 
ドールハウス〜特命女性捜査班〜  TBS系・22時       
 
白い巨塔             フジ系・22時         
奥さまは魔女           TBS系・22時  
 スカイハイ2           テレ朝系・23時15分     
彼女が死んじゃった。       日テレ系・21時        
砂の器              TBS系・21時

ちょっと待って、神様/3時のおやつ/
  STAR’S ECHO 〜あなたに逢いたくて〜/
  それからの日々/恋する京都/てるてる家族





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