佐知子の歌日記・第五集
佐知子の第二歌集〜君と山歩き〜
クサリとロープに助けられ
蓮華岳から針ノ木峠へ

 丹沢山〜蛭ヶ岳〜檜洞丸(H31年1月)
あかねさす日の出おろがむ夫とわれ 零下六度の正月四日
小屋泊まりのほとんどは若者で静かに話し静かに食べる
足がつり芍薬甘草湯を飲む 薬の世話になる歳なのだ
幾たびも上着を着たり脱いだりと体温調節しながら登る
乗るバスの発車時刻を気にしつつ下山の足は素早くはねる

 丸岳ハイキング(箱根外輪山)(H31年4月)
春の日の思い立っての箱根路を二人で歩くリュックは軽く

 鋸山ハイキング(H31年4月)
菓子袋カサカサ開けるを聞きつけて五匹の猫が寄るベンチ脇
平日の鋸山
(のこぎりやま)に人けなく順番待たずに「のぞき」に立てり

 小仏城山から高尾山 (H31年4月)
元気よい小学生の遠足につられて歩く小仏城山

 
高野山観光ツアー (H31年4月)
鹿せんべい追いかけまわるシカの目は潤みておりぬ奈良の公園

 升形山〜黒富士〜曲岳(R元年5月)
富士を背に静かに広がる春霞 甲州盆地は湖のごとし
鈴の音に驚き素早く山下る太目のカモシカころがるように

 
御在所岳藤原岳登山(R元年5月)
滑りやすい石ゴロゴロの道なれど御在所岳にひばりの声す
道に迷いたどり着きたる山頂にリフトや自販機食堂もあり
東側を深くけずられいたいたし藤原岳はうす雲に座す
耳なれぬ会話がはずむ近鉄でわれもしばらく異邦人となる

 
高尾山ハイキング(R元年5月)
平日の満員電車の足元に登山リュックを隠すごと置く
雲厚く展望台に立ち尽くす「心眼」または「心願」の富士

 
日光白根山から錫ヶ岳(R元年6月)
人影の見えなくなった山頂の牡鹿一頭我らを見つむ
かろうじてたどり着きたる避難小屋 重い板戸をこじ開け入る
笹の露に濡れたるズボン重たくて ますます足が遅くなるなり
小屋周り高嶺桜は八分咲き五色沼へと雪道をゆく

 
北海道の山旅(樽前山と藻岩山)(R元年6月)
羽田から千歳までのチケットが五千円なんてほんとうかしら
八分咲きの樽前草がそこかしこ山肌淡く紫にする
樽前の外輪山に噴き上がる硫黄の風を全身に浴ぶ
樹木の葉 藻岩山のは大きいとインストラクターの君が言う
支笏湖の透きとおる水に手を浸し身のうちまでも浄化されゆく

 花と展望・秋田の山旅5日間(R元年7月)
俯いて駒ヶ岳に咲く紫の白山沙参
(ハクサンシャジン)は秋田美人なり
ザレ地には強き風にもくじけずに女王駒草
(コマクサ)いちめんに咲く
あおあおと流れは速く抱返り渓谷の夏静かに涼し
プール二個分ほどの源泉折々にボコッボコッと息つぎをする
キスゲ咲く乳頭山への登山道 小雨に濡るる君と我のみ
木道でつまづき君は手をくじく七十歳
(ななそじ)の坂はゆっくり登ろ
知らないでいたらよかった山の宿でうさぎの肉を食べてしまえり

 
北岳登山 (R元年8月)
息を止めじっと見入る北岳のタカネビランジ白く咲きたり
ハプニングがいくつかあれど無事下山 北岳に向きほほえみ送る
バックは北岳バットレス
 
二俣から大樺沢を下る

 針ノ木岳と蓮華岳登山(R元年9月)
雪のなか佐々成政が越えたとう針ノ木峠を秋風と歩く
地図上にコンパスをあて山の名を確かめ君は笑顔になりぬ
槍ヶ岳の穂先が見えたり隠れたり のそりのそりと白雲がゆく
雲海に浮かぶ槍・穂と剱岳 立山・富士を蓮華より見る

 
尾瀬・笠ヶ岳登山(R元年9月)
竜胆は濃い紫に凛と立ち尾瀬の小道の木道にそう
幾たびもぬかるみに入る登山靴 赤から茶へと変身したり

 
石老山ハイキング(R元年9月)
くもり日にさねさし相模の湖を石老山よりかすかに眺む


 城ヶ島ハイキング(R元年10月)
京急の「まぐろきっぷ」の名につられ三崎港にて鮪丼を食う
城ヶ島の荒磯歩きなつかしむ釣り三昧の夫の三十路を

 鎌倉アルプス(R元年10月)
台風に数多の樹木倒されて山道消える鎌倉アルプス
茶店跡の更地に生える草深し四年前にはおでんを食べた

 杓子山登山1 (10.28)
車窓より五分おろがみそののちは雲に隠れておわす富士山

 樹海散策と王岳登山(R元年11月)
道しるべを見逃さぬよう気をつけて青木ヶ原の樹海を歩く
王岳の眼前の富士は気前よく剣が峰までくっきりと見す

 杓子山登山(R元年12月)
晴天に富士を眺める特等席 杓子山にておにぎりを食う

 都留アルプス(R2年1月)
新春の都留の峰より眺めたる霞む富士でも富士は富士なり

 
鷹取山ハイキング(R2年1月)
小雨降る鷹取山の頂上に病い癒えたる友をことほぐ

 石垣島の山旅(R2年2月)
ピーチとう艶めかしき名の飛行機にスイカの産地成田より乗る
末永くいつの世までもと願われた みんさー織のバッグをねだる
寒いねと満月見つつ足早に帰る七十歳
(ななじゅう)もう25時

 雨巻山登山(R2年3月)
薄曇りの雨巻山
(あままきさん)に風強し声あげたわむ小楢の冬木
グエッグエッと鳴き声ひびく田子蛙
(タゴガエル)沢の清水に五匹が泳ぐ
山里の大犬の陰嚢
(オオイヌノフグリ)輝いて小さき青がお空を見上ぐ

 高尾山から景信山・ハイキング(R2年3月)
味噌汁のなめこ掴めず指ふるえ気温零度の景信山頂

 渡良瀬遊水地を散策(R2年3月)
菜の花は土手をおおいて渡良瀬の県境などはかまわずに咲く

 三毳山・万葉自然公園かたくりの里(R2年3月)
カタクリの花うつむいて三毳山
(みかもやま)うす紫の裾模様かな

 都民の森から三頭山(R2年6月)
マスクしてまたは小声の「こんにちは」 山でのあいさつ新しくなる

 玉原高原(鹿俣山)ハイキング(R2年6月)
葉を照らす光零れる玉原のぶなの森には妖精が住む
まずは桶よくよく洗い口閉じて湯舟につかる日帰り温泉

 
奥多摩駅周辺をハイキング(R2年7月)
西へ行くほど緑増す東京の東のわれに来よと言うがに
新しく出来た道路を探せずに空中走る我が家のカーナビ
交易のさかんでありし奥多摩のむかし道行く余暇のわれらが

 金峰山登山(R2年8月)
ストックを忘れたわれは枝を拾い 夫はタオルを帽子がわりに

 
3泊4日・北信の山旅・黒姫山斑尾山(R2年8月)
「雪とけて村いっぱいの子どもかな」一茶もうれしい雪国の春
爆音かと響く苗名
(なえな)の滝水はドンドンドンと流れてゆけり
われは膝夫は全身ぎくしゃくと油の切れたブリキロボット

 
佐渡島の山旅(R2年9月)
草原をハイジのようには走らねど君と見渡すドンデン高原
お社と防衛施設の頂きの金北山は日本海を見る
学名はニッポンがつく朱鷺だけどさまざまな国のトキがいる園
何枚も梅鉢草を撮る君とすすきの揺らぎを見ているわれと

東京のGoToトラベル始まりて胸張り山へ行く行け行くぞ(R2年10月)

 霧降高原の山旅(R2年10月)
ツナピラフ コンロで作る君がいて食べるばかりのわれとなりたり
紅葉をちらりちらりと見たのちにヒル住む道を足早に行く

 
鼻曲山と剣の峰小浅間山(R2年10月)
鈴ならし落ち葉踏み分け山道へ「クマさんどうぞどうかお先へ」
湯舟からどっとどっととあふれ出る 晶子も浸かりし霧積温泉
GoToのクーポンを手になつかしの峠の釜飯九つを買う

 雲仙岳の山旅(R2年11月)
噴火から三十年の普賢岳平成新山を畏れつつ眺む
関東と少し違うと植物の同定に迷う夫の視線
入り組んだ海岸線の島原に南蛮船の影をさがしぬ

 中伊豆へ:八丁池鉢窪山〜太郎杉(R2年12月)
二人して御幸路たどり山上へ八丁池は静かに凍る
この部屋で「伊豆の踊り子」は書かれたと宿の主人は力強く言う

 佐白山(笠間市)(R3年1月)
佐白山
(さしろさん)ショルダーバッグで頂上へ盆地なんだね笠間の町は

 
高鈴山(たかすずやま)と神峰山(かみねさん)(R3年1月)
後ずさりしたくなりたり雪道の常陸の神峰・高鈴山に
白鳥
(しらとり)は飛んでいないが空や海 青あをとして地球色だね

 
宝登山から長瀞アルプス(R3年2月)
花に鼻ふれんばかりに寄せてみる 蝋梅つんと匂ったような
ギザギザと切れ立つ峰をならべ立つ両神山をかつて登りき
武甲山はアンパンマンだ 身を削り困った人を助けてくれた

 
鹿野山・マザー牧場(R3年3月)
黄緑の木五倍子
(きぶし)の房が揺れている上総の国の春の道の辺
菜の花と若き親子の間ゆく老い人二人マザー牧場


 箕山ハイキング(R3年4月)
簑山
(みのやま)は みどり黄みどり深みどりパッチワークを縁取る桜

 奄美大島の山旅(R3年4月)
明け方の嘉鉄の浜を散歩して夫と見せ合う白い貝殻
ハートロック: 干潮のときにだけ姿を現すハート型の潮だまり
 
奄美大島のハートロック

 上越の三国山赤城山の鍋割山(R3年5月)
あと少し雲よ上がれと願えども谷川の嶺に声は届かず
雨降りの目を慰めて薄紅の三つ葉躑躅の花は咲きたり

 福島の山旅(霊山登山)(R3年6月)
五キロごとモニタリングのポストあり 常磐道をフクシマへ入る
春蝉の啼き出でし声は胸に沁み 眼
(まなこ)を閉じて暫し歩を止む
六月のスカイラインは緑なり ピンクを添える谷空木の花

 三浦富士から武山(R3年7月)
蒸し暑き三浦半島の山に来て 人の気配にマスクをつける
津久井浜にとりどりの色はためかせウインドサーファー海に乗ってる

 北アルプス横断(R3年7月)
花盛りの小梅尅
(コバイケイソウ)斜面うめ 北アルプスの白き穂の波
雷雨きて野口五郎に逃げ場なくただただ黙し夫と歩けり
つま先を岩の隙間にぐいと入れ烏帽子岳の頂上に立つ
ためらわず優先席へと直行す登山帰りの山手線

 白馬岳登山B(R3年8月)
草むらよりぬるりと出でて半身は青くきらめく蜥蜴の尻尾
人間を怖がりもせず雷鳥は餌をさがして親子で歩く
小屋前はチングルマの大群落 稚児車となり風と遊べり
痺れてる足を引きずり下山する「おんせんおんせん」と呟きながら
糸魚川の銘酒セットを購
(あがな)いて飲み比べする笑顔の夫よ

 
北奥羽・7日間の山旅(R3年9月)
目の前にせまり来るよな岩手山ホテルの窓ゆはみ出しそうに
(窓ゆ=窓から)
なだらかに裾を広げる姫神山 見れば見るほどほんに姫様
牧草地とおり抜ければ一合目くもり日に行く七時雨山
漁り火がちらちら灯す下北の美味しいイカをいただいており
山頂の紅葉を頭と胸に置き膝痛と下る太平山

 浜離宮から愛宕山・都内散策(R3年11月)
ビル群をくぐり抜け着く浜離宮 松の緑とつわぶきの黄の
青空を突き抜けそうに聳え立つ東京タワーを真下より見上ぐ
愛宕山 今更ながらと言いながら「出世の階段」一気に登る

 
武山三山ハイキング(R3年11月)
体調のすぐれぬ友に送信す十三人のハッピーバースデー
(ほ)おそくとも登山が出来る喜びを薬談議の合間に語る

 鳥居原から南山ハイキング-1(R3年11月)
日曜日は家族の日なり若きらと子らで賑わう宮ヶ瀬の湖
(うみ)

 
信州の霧訪山守屋山(R3年12月)
留山の霧訪山
(きりとうやま)の登山道 左右ロープのきつく結わわる
まっ白な北アルプスは連なりて山の名確かめ存分に眺む
諏訪大社三ヶ所巡り祈りたり山旅つづくを感謝しながら
木々の間に我家の青い車見え 下山出来たと痛い膝撫づ

 鳥居原から南山ハイキング-2(R3年12月)
下山後の露天風呂にて眺めれば碧
(あお)の夜空に上弦の月

 二宮町の吾妻山ハイク(R4年1月)
富士山と月見草は似合うけど菜の花も良し小寒の空に
一時間待って出てきたハンバーグ ひたすら食べた十分でした
菜の花畑越しに富士山を望む

 石垣山(一夜城)ハイク(R4年2月)
三十分並びて入る「漁港めし」銀ダラ煮付け骨までせせる

 
八丈島・2泊3日の山旅(R4年3月)
若きらの「こんにちはー」に励まされ八丈富士の御鉢を巡る
坂の名は「長友ロード」わが軽
(自動車)はアシスト無しにゴールを目指す
カーナビの装備は無しのレンタカー「さっきもこの道走ったよねぇ…」

 
三浦アルプス・ハイキング(R4年4月)
「後ろからすーとトンビが来たのよ」とサンドイッチを盗まれた友
新緑と山桜の白あふれおり三浦アルプス大人の花見

 三ノ塔(表丹沢)登山(R4年4月)
クスクスや大きく笑う葉のありて緑あふれる丹沢山塊
われ二匹夫に三匹ぬるっと付く丹沢の蛭よまだ四月だぞ

 金時山登山(R4年5月)
園児らは「疲れた」「ヤッホー」とさまざまに金時山を上り下りぬ

 
弥山(安芸の宮島)(R4年5月)
宮島の草は少なく餌ねだり寄りくる鹿は小さく細し

 
秋芳洞と秋吉台(R4年5月)
不思議とも不気味ともおもう秋芳洞 億万年の自然の力よ

 東鳳翩山(山口)(R4年6月)
平日に登山者多し海望む鳳翩山(ほうべんざん)は地元のオアシス

 山の仲間たちと三ノ塔登山(R4年6月)
手を合わせお地蔵様を撫でながらお胸談義の女子の丹沢
湿り気の丹沢ゆえに蛭除けの「ヒル下がりのジョニー」を噴霧す

 大菩薩嶺登山(R4年7月)
小雨降り展望きかぬ大菩薩 なぐさめに食う馬刺し・ほうとう

 
礼文島への山旅(R4年7月)
円形の裾を広げて利尻山 これすなわち利尻島なのだ
ゆるやかな一本道の礼文岳 夫の植物講義始まる
スコトンの海の彼方はサハリンか ゆらりゆらりとロシアの陰に

 
爺ヶ岳と鹿島槍ヶ岳(R4年8月)
青空にウサギギグの黄すくと立ち主役のごとく斜面を飾る
鹿島槍を頭痛とともに登りたりバファリン飲んでゆっくり歩く
雲海に輝く太陽あらわれて おもわず拝む心底拝む
ブロッケン初めて見たと写真撮る友らのスマホの電池あやうし

 人形山登山(R4年8月)
五箇山の合掌造りの集落は昔話しの絵本のような
人形山四回転んだ下山時にどうしたんだとわが足に問う
南砺市のクーポン券は八千円 まずは酒をと我が家流なり

 
志賀高原の山旅[志賀山岩菅山(R4年10月)
冬ならばスキー客らで賑わえる志賀高原は静かな秋色
山道の左右に清き水流れ岩菅山
(いわすげやま)へと誘われたり
赤ワインりんごジュースに芋の茎「信州クーポン」を使い果たせり
四十八池:バックは裏志賀山
 ↑志賀高原の四十八池湿原

 大多摩ウォーキングトレイル(R4年11月)
八人の足どり軽し奥多摩の清い空気を胸におさめて
赤や黄のもみじをいっそう際立たせ空よあなたは今日もブルーか

 
愛知県への山旅[鳳来寺山石巻山(R4年11月)
千四百の石段登り本堂へ御利益願う鳳来寺山
霜月の日暮れ気になる山道にアスファルト見ゆ 安堵の瞬間
テーブルの手鏡に向く女子高生 新幹線にて化粧の二時間

 四国への山旅(稲叢山飯野山・紫雲山)(R4年12月)
落人の隠れし洞窟見上げれば鉄の鎖が一本揺れてる
狸かな貂かもしれぬ足跡が新雪にあり我らを導く
カーナビが教える帰路は雪の道 夫は静かにハンドル回す
ぽこぽこと散らばりている低き山 讃岐平野に紅葉うつす
金比羅山 千三百の階段をうどんの力で登りきりたり
急坂の細いロープを掴みつつ 下ればそこは栗林公園

 鎌倉アルプス・天園ハイキングコース (1.11)
青空と白い富士山眺めれば痛い足など忘れる刹那
お参り後特大ジョッキ三杯のビールの夫とサブレー買う我

 沖縄・5日間の山旅(R5年1月)
やんばるの与那覇岳
(よなはだけ)は緑濃し お隣様は米軍の森
犬や獅子ゴリラの表示にそう見える奇岩珍岩大石林山
(だいせきりんざん)
雲間より虹の半分あらわれて名護山頂にはしゃいでおりぬ
番組のクルー引き連れ軽やかに吉田類さん名護岳登る
与那覇岳の登山道
 
↑やんばるの森を行く・・・

 宝登山から長瀞アルプス(R5年2月)
つややかな黄の蝋梅は宝登山
(ほどさん)の頂飾る冠のごと
削られてもなお堂々の武甲山 昼のおにぎり少し塩っぱい

 三浦アルプス(R5年3月)
若い人多く行き交う道となり三浦アルプスメジャーとなるか

 
佐賀県への山旅(R5年3月)
キャスター付きスーツケースの人ら避け羽田行きに乗るリュックの我ら
いくつものクサリ・ロープに助けられ黒髪山
(くろかみやま)の頂に立つ
天山の頂上稜線平らかで思わず弾むわが赤い靴
券売機に迷いておればスタッフは「シニアの方はこちらです」と言う

 石老山登山(R5年4月)
うっすらと白い富士見え痛み飛ぶ 腰を撫でつつ石老山頂

 竹寺から子ノ権現(R5年4月)
帽子からはみ出る白髪のご利益かラッシュアワーに席譲られて

 
高柄山登山(R5年5月)
「ご夫婦でいいですね・・・山」と言われて膝痛こらえ笑顔を返す

 
大阪への山旅(岩涌山)(R5年5月)
はじめての大阪の地に足を置くエスカレーター右側に倣う
青空と全大阪を見渡せる岩湧
(いわわき)山頂ホンマぜいたく
 

 足利行道山ハイキング(R5年5月)
靴擦れは赤く腫れたり行道山
(ぎょうどうさん) おニューの靴に試されており

 
尾瀬ヶ原とアヤメ平(R5年6月)
水芭蕉盛りは過ぎてもすくと立ち 白き苞抱く大き緑葉
アヤメ無きアヤメ平のおちこちにコイワカガミのピンクいきいき
懸命の歩みの先のごほうびに手足のばして戸倉温泉

 スイス・アルプス周遊ハイキング(R5年7月)
黒べール黒い長着の女達 はたして下着は何色だろうか
九切れのにんじんを食う夫である氷河特急四時の昼食に
九切れを残さず夫が食べたから七月十五日は人参記念日
バスローブ分厚く長く部屋広し四つ星ホテルはわが規格外
ゴンドラの車内アナウンスに日本語の無くて韓国・中国語あり
岩岩の筋が朝日に輝いてアイガー北壁玉座の構え
ディアヴォレッツァ展望台からベルニナ山群を望む
  
ディアヴォレッツァ展望台からベルニナ山群を望む↑

 入笠山日向山・中央道の甲信国境への山旅(R5年8月)
ゴンドラで七百米を稼ぎおり 後ろめたさをリュックに負いて
元気な子虫を嫌がる子らがいて入笠山は賑わいにけり
源泉の掛け流しの湯に足ほぐすジャズが流れるロッジ・アトリエ
山頂は花崗岩の白い粒 日向山
(ひなたやま)にてビーチの散歩
 入笠山の山頂
  入笠山の山頂にて↑

 日光霧降高原をハイキング(R5年9月)
山靴にヒルよけスプレー確とかけ霧降高原おどおど歩く
手の甲につきたるヒルを払う友みるみる血潮あふれいでけり
 霧降川に架かる丸太橋を渡る
  霧降川を渡る(大山トレッキングコースにて)↑

 三瓶山(R5年10月)
女三瓶・子三瓶・孫三瓶 家族のような山を抱き男三瓶はあるじのごとし
暗闇に手掘りの洞
(ほら)の背は低く石見銀山の宝は人か
巨大なる注連縄をはる社なり出雲の神に祈る平安
日御碕
(ひのみさき)の灯台に昇り眺めたる海の向こうに島影は無し

 九州南東部・4日間の山旅(R5年11月)
優勝は大関霧島おめでとうに宿の人は笑む霧島温泉
葡萄色
(えびいろ)にえびの高原染められて静かに歩く二人で歩く
くねくねと車道は曲がる目が回る吊り橋揺れる両足すくむ

 大楠山(R6年1月)
横須賀の千八百円マグロ丼 三崎が近いとやっぱり旨い

 
六甲山(R6年3月)
「青春18きっぷ」を持ちて行きたるは芦屋駅まで七十路こえて

 岩戸山(R6年4月)
ドットドットと溢れでる五百円なり駅前温泉

 仙元山から大峰山(R6年5月)
走りたる数多のヨットを見ているか葉山の浜に裕次郎の碑
連休に来るもんじゃないと思えども若きらの「気」をいただきにけり
「ソッカ」にて樹木の謂れを話す夫 緑の森に嬉々としており
QRコードの注文難しく笑いながらの駅前居酒屋

 ニュウ〜横谷峡・北八ヶ岳(R6年6月)
北八ツの苔むす山の静けさよ すべての音は緑に吸わる
「にゅう」という珍しき名の頂きに立てば少しは若返る・・・かも
黄土色の温めのお湯に時忘れ手足をほぐす横谷温泉
歌声よし選曲よしのコンサート ホテルのロビーに寛ぐ旅の夜
道すがら樹木の話しをする夫と王滝めざし食後の散歩

 ニセコ連峰(R6年6月)
源泉の掛け流しの湯に身を伸ばし雨の登山の疲れをはらう
たどたどしく宿の案内する女性 ベトナムからとにっこり笑う
「どちらから?」「東京です」と答えると「ほうー」と驚くニセコ連峰

 北アルプス常念山脈(R6年7月〜8月)
「晴れたよ」と喜ぶ友の声弾み常念尾根を軽やかに行く
常念岳をバックに

 
西日本への山旅(R6年9月)
烏帽子山の頂上踏めず十津川の温泉に入り齢を思えり
千六百キロ運転の夫に「お疲れ」の言葉も忘れ玄関に入る

 
日和田山から物見山(R6年9月)
「日和田山からエベレストへ」と碑に刻まれた田部井淳子の偉業を思う

 
霞丘陵ハイキング(R6年10月)
山道も温泉も忘るる記憶には七国峠のオハグロトンボ

 
勝浦の岬めぐり・八幡岬〜官軍塚(R7年1月)
波の音大小ありて勝浦の切り岸そっと君と歩けり
お目当ての富士の景趣に雲かかり十国峠はため息ばかり

 再び岩戸山(R7年1月)
お目当ての富士の景趣に雲かかり十国峠はため息ばかり
お目当ての熱海温泉浴場の「本日休み」の札がゆれてる

 
曽我丘陵ハイキング(R7年2月)
入り交じる小道がむしろ楽しそう片手に地図の夫の歩み

 
六国峠(R7年4月)
鎌倉の桜まだまだ咲きほこり 何だかお得なハイキングなり

 
角田山(R7年4月)
荒海の日本海見て岬より帰国かなわぬ人らを思う

 槙寄山と浅間嶺(R7年5月)
とりどりの緑あふれる山道に樹木の精住む都民の森よ
ラクラクと二十年前は登ったが今はハアハアの浅間嶺
(せんげんれい)

 再び六国峠(R7年6月)
雨あがりのあじさい寺を歩きたり相方は夫 相(愛)も変わらず

 
京都への山旅(R7年11月)
日本中熊出没のニュースありリュックに鈴つけ京都の山へ
レース地の化繊の「キモノ」を着る女子ら清水寺をチャラチャラ歩く
おのおののお顔をもちて菩薩様 三十三間堂に静かにおわす
竹林は外国人に占められて はて かぐや姫 驚きおらん
小倉山を歩けばここかあそこかと定家の山荘描きつつ行く

アイドルを「オッカケ」孫は札幌へ われらは日本の山を「オッカケ」


令和元年から令和7年にかけての山行に関する歌を編集しました。

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